現在、厚生労働省では雇用仲介サービスに関して、次の3点に関して議論が行われています。
- IT化等による新しい事業モデル・サービスに対応した制度の在り方
- 有料職業紹介事業および募集情報等提供事業等をより適正かつ効果的に運営するための制度の在り方
- 働き方や職業キャリアの在り方が多様化する中で、需要サイドと供給サイド双方にとって機能的な労働市場を実現するための制度や官民連携の在り方
これに関連して、現在様々にある雇用仲介サービスを整理した資料が審議会で公開されました。
たとえば、雇用仲介サービスの代表的な形態である「職業紹介」は、次のような特徴があります。
- 求職及び求人の申込みを受け、雇用関係の成立をあっせんする。
- 職業安定法に基づく許可が必要。
- 求職者及び求人企業の希望をもとに、適合する相手をマッチング。
- 面接の日程調整やキャリアコンサルティングも実施。
職業紹介の課金方法は成功報酬が多く、入職者の年収の30%程度を求人企業が支払うことが多く、一部職種や高年収の求職者を除いて、求職者からの手数料徴収は禁止されています。
一方、一般にあまり区別されていない「求人メディア」は、次のような特徴があります。求人メディアの課金は、定額制やクリック課金による広告掲載料の徴収が多く、求人企業が支払う一方、求職者が手数料を支払うサービスはほとんどありません。
- 求人企業の依頼を受け、求人情報の作成や掲載を行う。
- 求職者は自ら求人情報を検索し、応募する。
- 求職者の情報やサイト内の行動をもとに、検索結果の並び替えやリコメンドを行う場合もある。
比較的最近増えてきたのが「人材データベース」です。
- 求職者や潜在求職者の情報を、求人企業や職業紹介事業者に対して提供。
- 求人企業や職業紹介事業者が求職者情報を検索し、スカウトを送付。
- 求職者が自ら情報を登録するだけでなく、候補者の情報をクローリング・収集するサービスもある。
- 条件に合致する求職者を求人企業等にリコメンド、ランク付けして提示する場合もある
人材データベースは定額制や成功報酬、スカウト送信従量制など、求人企業等の支払う手数料の態様は様々で、求職者が定額の利用料を支払う場合も存在します。
特に最近利用が増えているのは「アグリゲーター」です。代表的なものはインディードですが、これも一般の求職者は求人メディアと区別はしていないかもしれません。課金方法も求人メディアと似ていて、定額制やクリック課金による広告掲載料の徴収が多く、求人企業や求人メディアが支払うので、求職者が手数料を支払うサービスはほとんどありません。
- 求人企業や職業紹介事業者、求人メディアが求人情報を登録。
- 求人企業や職業紹介事業者、求人メディア等がインターネット上に公開する求人情報もアグリゲーターがクローリング・収集する。
- 求職者は自ら求人情報を検索し、応募する。
- 求職者の情報やサイト内の行動をもとに、検索結果の並び替えやリコメンドを行う場合もある
定額制やクリック課金による広告掲載料の徴収が多く、求人企業や求人メディアが支払うので、求職者が手数料を支払うサービスはほとんどありません。
このように求人・求職サービスは多様化しており、冒頭でみたような制度の見直しも含めた検討が行われています。
参考リンク
第13回 「労働市場における雇用仲介の在り方に関する研究会」資料(厚生労働省HP)