5月11日に雇用調整助成金に関するFAQが更新されました。その中には4月25日に公表された新たな拡充措置についても概要が記載されていますので、今回はその部分を取り上げます。なお、本特例の詳細は5月上旬に公表されるとされていますが、現時点ではまだ公表されていません。

問 74 今回の拡充内容はどのようなものでしょうか。

○ 拡充内容は2点です。

① 中小企業が解雇等を行わず雇用を維持している場合、賃金の 60%を超えて休業手当を支給する部分に係る助成率を特例的に 10/10 とします。

② 都道府県知事による休業等の要請を受けた中でも、中小企業が解雇等を行わず雇用を維持し、かつ、100%の休業手当を支払っているなど一定の要件を満たす場合には、休業手当全体の助成率を特例的に 10/10 とします。

○ この措置については、緊急事態宣言が出された4月8日に遡ります。具体的には、4月8日以降の期間が係っている休業に対する手当の支給に適用する
こととします。なお、(6月 30 日までの)緊急対応期間中に限り適用します。

以上をまとめたのが下図です。

このうち、広く対象となる可能性があるのが「拡充1」です。のでその具体例を示した問80を紹介します。

問 80 拡充1について具体的な例を示してください。

○ 例えば、賃金が 8,000 円だった場合、休業手当支払率 60%の 4,800 円については、助成率は 9/10 であり、助成額は 4,320 円、企業負担額は 480 円です。

○ 他方で、休業手当支払率 60%を超える部分の助成率は 10/10 となります。支払率が 80%だった場合は、支払率 60%を超える20%分の休業手当額は、1,600円ですが、全額が助成されます。また、支払率が100%だった場合は、支払率60%を超える 40%分の休業手当額は、3,200 円ですが、全額が助成されます。

○ つまり、賃金の 60%の休業手当を支払う場合と、賃金の 100%の休業手当を支払う場合とで、企業の負担額(480 円)は変わりません。(ただし、1人1日当たりの助成額の上限は、8,330 円です。)

さらに、助成額の算定方法の簡略化が行われることが5月6日に公表され、以下の簡略化を図ることとされています。

  1. 小規模の事業主(概ね従業員20人以下)については、「実際の休業手当額」を用いて、助成額を算定できるようにします。※ 「実際に支払った休業手当額」×「助成率」=「助成額」とします
  2. 小規模の事業主以外の事業主についても、助成額を算定する際に用いる「平均賃金額」の算定方法を大幅に簡素化します。
    1. 「労働保険確定保険料申告書」だけでなく、「源泉所得税」の納付書を用いて1人当たり平均賃金を算定できることとします。※ 源泉所得税の納付書における俸給、給料等の「支給額」及び「人員」の数を活用し、1人当たり平均賃金(「支給額」÷「人員」)を算出します。
    2. 「所定労働日数」を休業実施前の任意の1か月をもとに算定できることとします。

このように特例が相次いで公表されていますので、引き続き最新情報に注意するようにしてください。

お問い合わせはお気軽に。043-245-2288

参考リンク

雇用調整助成金 FAQ(令和2年5月 11 日時点版)(厚労省HP)