令和7年4月1日から高年齢雇用継続基本給付金及び高年齢再就職給付金(以下「高年齢雇用継続給付」という。)の給付率が引下げられます。これについて、日本年金機構宛に通達が発出されましたので、今回はその内容をみてみましょう。
前述の通り雇用保険法における高年齢雇用継続給付について、令和7年4月1日から給付率が引き下げられ、賃金の最大15%から最大10%になります。
そして、高年齢雇用継続給付と老齢厚生年金は、個人に対し同一時期に支給される公的な現金給付であり、高年齢雇用継続給付は失業給付と同質の給付であることに鑑み、高年齢雇用継続給付と老齢厚生年金は一定の併給調整を行うこととされているところ、高年齢雇用継続給付の引下げに伴い、老齢厚生年金における支給停止率が引き下げられます。
高年齢雇用継続給付を受けられるときの老齢厚生年金における支給停止率は、現行では標準報酬月額の最大6%(高年齢雇用継続給付に相当する額の4割)とされていました。今回の改正により、高年齢雇用継続給付の支給額が引き下げられることにともない、改正後も高年齢雇用継続給付に相当する額の4割という割合を維持するため、老齢厚生年金における支給停止率は、標準報酬月額の最大4%となります。

なお、次のいずれかの場合は、経過措置により、高年齢雇用継続給付の支給額及び老齢厚生年金における支給停止率については、従前の例によるものとされています。
- 施行日(令和7年4月1日)より前に 60 歳に到達し、高年齢雇用継続基本給付金を受給する場合
- 施行日(令和7年4月1日)より前に再就職し、高年齢再就職給付金を受給する場合
このように、高年齢雇用継続給付の支給率の引き下げによる年金の支給停止率の変更についてみてきました。さらに、特に再雇用制度にみられた高年齢雇用継続給付を前提にしていた企業の賃金制度についても、今後見直しが求められます。

参考リンク
雇用保険法等の一部を改正する法律の一部の施行について(通知)(令和7年3月17日年管発0317第1号)(厚生労働省HP)