世界の労働基準監督署からVOL022:宮古労働基準監督署

厚生労働省が令和4年度の「過労死等の労災補償状況」を公表しました。

厚生労働省では、過重な仕事が原因で発症した脳・心臓疾患や、仕事による強いストレスが原因で発病した精神障害の状況について、労災請求件数や、「業務上疾病」と認定し労災保険給付を決定した支給決定件数などを、年1回、取りまとめています。

令和4年度の脳・心臓疾患に関する事案の請求件数は803件(前年度比50件の増加)で、死亡件数は前年度比45件増の218件でした。このうち、支給決定件数は194件で前年度比22件の増加(うち死亡件数は前年度比3件減の54件)となり、請求件数、支給決定件数ともに前年を上回りました。

次に年齢別の傾向についてみると、請求件数は「50~59歳」303件、「60歳以上」283件、「40~49歳」164件の順で多く、支給決定件数は「50~59歳」67件、「40~49歳」58件、「60歳以上」49件の順に多い結果でした。

時間外労働時間別(1か月又は2~6か月における1か月平均)の傾向についてみると、支給決定件数は、「評価期間1か月」では「100時間以上~120時間未満」25件が最も多く、「評価期間2~6か月における1か月平均」では「60時間以上~80時間未満」45件が最も多い結果でした。

次に精神障害の案件についてみると、令和4年度の請求件数は2,683件で前年度比337件の増加(うち未遂を含む自殺の件数は前年度比12件増の183 件)、支給決定件数は710件で前年度比81件の増加(うち未遂を含む自殺の件数は前年度比12件減の67件)でした。脳・心臓疾患の案件と同じく、精神障害でも請求・支給けってともに前年を上回ってしまいました。

業種別の傾向をみると、請求件数は「医療,福祉」624件、「製造業」392件、「卸売業,小売業」383件の順で多く、支給決定件数は「医療,福祉」164件、「製造業」104件、「卸売業,小売業」100件の順に多い結果でした。

年齢別の傾向をみると、求件数は「40~49歳」779件、「30~39歳」600件、「50~59歳」584件の順で多く、支給決定件数は「40~49歳」213件、「20~29歳」183件、「30~39歳」169件の順に多い結果でした。

時間外労働時間別(1か月平均)の傾向についてみると、支給決定件数は「20時間未満」が87件で最も多く、次いで「100時間以上~120時間未満」が45件でした。一方出来事別の傾向をみると、支給決定件数は、「上司等から、身体的攻撃、精神的攻撃等のパワーハラスメントを受けた」147件と最も多く、「悲惨な事故や災害の体験、目撃をした」89件、「仕事内容・仕事量の(大きな)変化を生じさせる出来事があった」78件の順に多い結果でした。このように精神障害は時間外労働が必ずしも長くない場合でも、パワハラなどを理由に認められている事例が少なくないことがうかがえます。

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参考リンク

令和4年度「過労死等の労災補償状況」を公表します(厚生労働省HP)