今回の記事、ざっくり言うと・・・
- 厚生労働省が、平成27年「就労条件総合調査」を公表した
- 変形労働時間制の採用割合では、1年単位の変形労働時間制で30.6%、1か月単位の変形労働時間制が20.3%、フレックスタイム制が4.3%
- みなし労働時間制では、事業場外みなし労働時間制で11.3%、次に専門業務型裁量労働制で2.3%、企画業務型裁量労働制は0.6%
厚生労働省が平成27年「就労条件総合調査」の結果を公表しました。
厚生労働省のプレスリリースでは、有給取得日数・取得率がともに減少(8.8日、47.6%)したことが強調されていましたが、ここでは、変形労働時間制やみなし労働時間制などの状況についてみてみましょう。
まず、何らかの変形労働時間制を採用している企業の割合は、52.8%となっています。
このうち、最も多いのが1年単位の変形労働時間制で30.6%、次に1か月単位の変形労働時間制が20.3%、フレックスタイム制が4.3%でした。変形労働時間制の採用割合の経年変化はそれほど大きくありませんが、ここ5年ではフレックスタイム制を採用する企業が減少傾向にあるようです。
興味深いのは1年単位と1か月単位の変形労働時間制の採用割合は、全体としては1年単位の方が10%くらい多いのですが、業種によってこの数字が逆転するところです。たとえば、「情報通信業」、「金融業・保険業」、「宿泊業・飲食サービス業」などです。その要因は様々なものが考えられますが、1年単位の変形労働時間制を採用した場合、たとえば36協定の限度時間が短縮されることが実態にそぐわないなどがあるように思われます。
次に「みなし労働時間制」についてみてみましょう。
何らかのみなし労働時間制を採用している企業の割合は、13.0%となっています。
このうち、最も多いのが事業場外みなし労働時間制で11.3%、次に専門業務型裁量労働制で2.3%、企画業務型裁量労働制は0.6%でした。
ところで、近年、「事業場外みなし労働時間制」について最高裁で厳しい司法判断がありましたが(たとえば「阪急トラベルサポート第2事件」(最判26.1.24)など)、今年の数字は過去5年で最も高い割合となっています。中でも、「不動産業・物品賃貸業」や「情報通信業」では、他業種と比べて採用率が高いという結果でした。
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