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厚生労働省が「令和元年度個別労働紛争解決制度の施行状況」を公表しました。「個別労働紛争解決制度」は、個々の労働者と事業主との間の労働条件や職場環境などをめぐるトラブルを未然に防止し、早期に解決を図るための制度で、「総合労働相談」、都道府県労働局長による「助言・指導」、紛争調整委員会による「あっせん」の3つの方法があります。

今回の結果のポイントは、次の2点です。

第1に、総合労働相談件数、助言・指導の申出件数は前年度より増加。あっせん申請の件数は前年度並みでした。総合労働相談件数は118万8,340件で、12年連続で100万件を超え、高止まりしています。また、助言・指導申出件数は9,874件で(前年比0.4% 増)、あっせん申請件数は5,187件(同0.3%減)となりました。

第2に、民事上の個別労働紛争の相談件数、助言・指導の申出件数、あっせんの申請件数の全てで、「いじめ・嫌がらせ」が引き続きトップでした。民事上の個別労働紛争の相談件数では、87,570件(同5.8%増)で8年連続、助言・指導の申出では、2,592件(同0.3%減)で7年連続、あっせんの申請では、1,837件(同1.6%増)で6年連続でそれぞれトップでした。

あっせんでは、紛争当事者双方のあっせん参加件数は56.3%(同0.6%減)と横ばいでした。また、紛争当事者双方のあっせん参加件数のうちあっせん開催による合意成立件数の割合は62.4%(同3.3%減)となっています。あっせん申請があったもののうち双方参加するのが約半分、開催された場合の約6割が合意解決といった数字で、あっせんによる解決割合は必ずしも高くないのが現状です。

もっとも双方の合意をめざすあっせんの仕組みは早期解決を図る上ではもっと活用されてもよい仕組みのように思われますので、厚労省による制度の内容やメリットの周知が望まれます。

今年度は新型コロナウイルスの感染拡大により解雇や雇止めが増加していることが報道されており、個別労使紛争は増加するものと予想されます。

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参考リンク

「令和元年度個別労働紛争解決制度の施行状況」を公表します(厚労省HP)