カスハラ指針要綱②
指針要綱では、事業主は、職場におけるカスタマーハラスメントを防止するため、雇用管理上次の措置を講じなければならないとされています。
- 事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発
- 相談(苦情を含む。以下同じ。)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
- 職場におけるカスタマーハラスメントに係る事後の迅速かつ適切な対応
- 職場におけるカスタマーハラスメントへの対応の実効性を確保するために必要なその抑止のための措置
- 1から4までの措置と併せて講ずべき措置
ただし、職場におけるカスタマーハラスメント対策を講ずる際は、消費者法制により定められている消費者の権利や、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律において、障害を理由とする不当な差別的取扱いの禁止や合理的配慮の提供義務が定められていることに留意する必要があり、同法に基づく「障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針」に即して主務大臣が各所掌分野ごとに定める事業者が適切に対応するために必要な指針、内閣府がホームページ等に掲載する合理的配慮の提供等に係る障害特性に応じた事例等も参考にして、顧客等との建設的対話を重ねるなど、事案に応じて適切に対応する必要があるとされています。また、各業法等によりサービス提供の義務等が定められている場合やサービスが途絶すると顧客等の生命や心身の健康に重大な影響が及ぶ場合等があることに留意して適切に対応する必要があります。
1.事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発
指針では、事業主は、職場におけるカスタマーハラスメントに関する方針の明確化、労働者に対するその方針の周知・啓発として、次の措置を講じなければならないとされています。
その際、職場におけるカスタマーハラスメントの発生の原因や背景には、商品・サービス・接客等における問題や顧客等とのコミュニケーションの不足などもあると考えられます。そのため、職場においてこれらを幅広く解消していく取組を進めることも、職場におけるカスタマーハラスメントの防止の効果を高める上で重要であることに留意することが必要であるとされています。そこで、指針では、以下の取組みを挙げています。
- 職場におけるカスタマーハラスメントには毅然とした態度で対応し、労働者を保護する旨の方針を明確化し、管理監督者を含む労働者に周知・啓発すること
- 職場におけるカスタマーハラスメントの内容及びあらかじめ定めた職場におけるカスタマーハラスメントへの対処の内容を、管理監督者を含む労働者に周知すること
2.相談(苦情を含む。以下同じ。)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
事業主は、労働者からの相談に対し、その内容や状況に応じ適切かつ柔軟に対応するために必要な体制の整備として、次の措置を講じなければならないとされています。なお、相談に対応する担当者として、労働者の上司に当たる管理監督者等を定めることも考えられます。
- 相談への対応のための窓口(以下「相談窓口」という。)をあらかじめ定め、労働者に周知すること。なお、職場における他のハラスメントの相談窓口と一体的に設置をすることも考えられる
- 相談窓口の担当者が、相談に対し、その内容や状況に応じ適切に対応できるようにすること。また、相談窓口においては、被害者が萎縮するなどして相談を躊躇する例もあること等も踏まえ、相談者の心身の状況や当該言動が行われた際の受け止めなどその認識にも配慮しながら、職場におけるカスタマーハラスメントが現実に生じている場合だけでなく、その発生のおそれがある場合や、職場におけるカスタマーハラスメントに該当するか否か微妙な場合であっても、広く相談に対応し、適切な対応を行うようにすること
3.職場におけるカスタマーハラスメントに係る事後の迅速かつ適切な対応
事業主は、職場におけるカスタマーハラスメントに係る相談の申出があった場合において、その事案に係る事実関係の迅速かつ正確な確認および適正な対処として、次の措置を講じなければならないとされています。
- 事案に係る事実関係を迅速かつ正確に確認すること。なお、行為者が、他の事業主が雇用する労働者又は他の事業主である場合には、必要に応じて、他の事業主に事実関係の確認への協力を求めることも含まれます。
- 職場におけるカスタマーハラスメントが生じた事実が確認できた場合においては、速やかに被害者に対する配慮のための措置を適正に行うこと
- 改めて職場におけるカスタマーハラスメントに関する方針を周知・啓発し、必要な場合には、職場におけるカスタマーハラスメントの発生の原因や背景となった商品・サービス・接客等における問題や顧客等とのコミュニケーションの不足などの改善を図る等の再発防止に向けた措置を講ずること。その際、必要に応じて、接客等における慣行の見直しなどの職場環境の改善や組織風土の見直しを行うことも考えられるとされています。また、必要に応じて事案の内容や対応経緯を記録し、個人情報の取扱いに留意して関係部門に共有し、再発防止に活用することも考えられます。なお、職場におけるカスタマーハラスメントが生じた事実が確認できなかった場合においても、同様の措置を講ずることとされています。
以上のように、カスタマーハラスメントについても、従来のハラスメント防止措置と同じ枠組みとよく似ていることがわかります。一方、カスタマーハラスメントの場合は、加害者が企業外の私人ですので直接教育指導等をすることはできません。そのため、発生の原因や背景をふまえた防止対策を検討する必要があります。指針案では「商品・サービス・接客等における問題や顧客等とのコミュニケーションの不足などもある」という指摘もされていますので、自社のサービスを見直すことが必要なケースも考えられます。




