世界の労働基準監督署からVOL018:成田労働基準監督署

いわゆる「シフト制」で働く労働者の雇用管理を行うにあたり、使用者が現行の労働関係法令等に照らして留意すべき事項を、一覧性をもって示すことにより、適切な労務管理を促すことで、労働紛争を予防し、労使双方にとってシフト制での働き方をメリットのあるものとするため、留意事項を作成しました。

ここでいう「シフト制」とは、労働契約の締結時点では労働日や労働時間を確定的に定めず、一定期間(1週間、1か月など)ごとに作成される勤務シフトなどで、初めて具体的な労働日や労働時間が確定するような勤務形態を指します。なお、三交替勤務のような、年や月などの一定期間における労働日数や労働時間数は決まっていて、就業規則等に定められた勤務時間のパターンを組み合わせて勤務する形態は除きます。

「留意事項」のなかでは、シフト制について、「その時々の事情に応じて柔軟に労働日・労働時間を設定できるという点で契約当事者双方にメリットがあり得る一方、使用者の都合により、労働日がほとんど設定されなかったり、労働者の希望を超える労働日数が設定されたりすることにより、労働紛争が発生することもあ」るとして、労使双方にとってメリットのあるものとするための留意点を、一覧性をもってとりまとめたものです。

労働契約の締結

労働基準法においては、使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して「始業及び終業の時刻」や「休日」に関する事項などを書面等により明示しなければならないこととされています。この点、シフト制労働契約についても同様ですが、その中でも特に問題となりやすい「始業及び終業の時刻」や「休日」に関する事項については、以下の点に留意する必要があります。

はじめに「始業及び終業の時刻」については、労働契約の締結時点において、すでに始業・終業時刻が確定している日については、その日の始業・終業時刻を明示しなければなりませんので、労働条件通知書等には、単に「シフトによる」と記載するのでは足りず、労働日ごとの始業・終業時刻を明記するか、原則的な始業・終業時刻を記載した上で労働契約の締結と同時に定める一定期間分のシフト表等をあわせて労働者に交付するなどの対応が必要です。

「休日」についても同様に、 労働契約の締結時に休日が定まっている場合は、これを明示しなければなりません。また、「具体的な曜日等が確定していない場合は、休日の設定にかかる基本的な考え方などを明示しなければな」らないとされました。 労働基準法では、使用者は、毎週少なくとも1回または4週間を通じて4日以上の休日を与えなければならないこととされていますので、「最低でもこうした内容を満たすような考え方を明示する必要があります」とされました。

就業規則については、「同一事業場において、労働者の勤務態様、職種等によって始業・終業の時刻や休日が異なる場合には、勤務態様、職種等の別ごとに始業・終業の時刻等を規定しなければなりません。また、今回の留意事項で明確にされた中で注意しなければならない点は、「シフト制労働者に関して、就業規則上『個別の労働契約による』、『シフトによる』との記載のみにとどめた場合、就業規則の作成義務を果たしたことにな」らず、「基本となる始業及び終業の時刻や休日を定めた上で、『具体的には個別の労働契約で定める』、『具体的にはシフトによる』旨を定めることは差し支え」ないとされましたことで、この点は注意しなければならないでしょう。

なお、1か月単位の変形労働時間制を適用する場合には、変形労働時間制導入時の具体的な労働日や各日の始業及び終業時刻(月ごとにシフトを作成する必要がある場合には、全ての始業・終業時刻パターンとその組み合わせの考え方、シフト表の作成手続およびその周知方法等)を定め」ることとされています。

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参考リンク

いわゆる「シフト制」について(厚生労働省HP)