今回の記事、ざっくり言うと・・・

  • 厚生労働省がセクシュアルハラスメントが原因で精神障害を発病した場合の労災認定について、パンフレットを公表
  • 本パンフレットは、セクハラに関する労災認定を具体的に説明するほか、労災認定事例も掲載されている

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世界の労働基準監督署からVOL008:さいたま労働基準監督署

厚生労働省がセクシュアルハラスメントが原因で精神障害を発病した場合の労災認定について、パンフレットを公表しました。

労災保険では、労働者に発病した精神障害が業務上として労災認定できるかを判断するために、「心理的負荷による精神障害の認定基準」を定めており、基準では、発病前のおおむね6か月間に起きた業務による出来事について、強い心理的負荷が認められる揚合に、認定要件の一つを満たすとしています。

精神障害の労災認定の要件は次のように定められています。

  1. 認定基準の対象となる精神障害を発病していること
  2. 精神障害の発病前おおむね6か月間に、業務による強い心理的負荷が認められること
  3. 業務以外の心理的負荷や個体側要因により精神障害を発病したとは認められないこと

このうち、セクシュアルハラスメントのように、出来事が繰り返されるものについては、発病の6か月よりも前にそれが始まり、発病まで継続していたときは、始まった時点からの心理的負荷を評価します。

「業務による強い心理的負荷」が認められるかどうかの判断は、次のように考えられます。

まず、認定基準に示す「特別な出来事」がある場合は、心理的負荷の総合評価が「強」と判定されます。

セクシュアルハラスメントの場合、具体的には、強姦や、本人の意思を抑圧して行われたわいせつ行為などのセクシュアルハラスメントを受けたことが挙げられます。

「特別な出来事」がない場合は、「心理的負荷の総合評価の視点」を考慮して心理的負荷の総合評価を行います。

「心理的負荷の総合評価の視点」とは、①セクシュアルハラスメントの内容、程度等や継続する状況、②セクシュアルハラスメントを受けた後の会社の対応および内容、改善の状況、職場の人間関係などです。

パンフレットでは、たとえば、胸や腰などへの身体接触を含むセクシュアルハラスメントであって、①継続して行われた場合、②行為は継続していないが、会社に相談しても適切な対応がなく、改善されなかった、または会社へ相談などをした後に職場の人聞関係が悪化した場合には、心理的負荷の総合評価は「強」と認定されることなどが示されています。

また、「〇〇ちゃん」などのセクシュアルハラスメントに当たる発言をされた場合は「弱」と認定されることが示されています。

このように、本パンフレットは、セクハラに関する労災認定を具体的に説明するほか、労災認定事例も掲載されており、セクハラの研修でも、資料として使用することができるものとなっています。

関連リンク

セクシュアルハラスメントによる精神障害の労災認定について(厚生労働省HP)

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