今回の記事、ざっくり言うと・・・

  • 面接指導をテレビ電話等の情報通信機器を用いて行うことができるかどうかについて発出された通達が厚生労働省のHPに掲載
  • 情報通信機器を用いて面接指導を行った場合も、労働者の心身の状況を把握し、必要な指導を行うことができる状況で実施するのであれば、直ちに法違反と なるものではないとされ、留意事項が示された

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世界の労働基準間当初からVOL:009:亀戸労働基準監督署

労働安全衛生法 66 条の8第1項では、時間外・休日労働時間が1月当たり100時間を超え、かつ、疲労の蓄積が認められる者が申し出た場合には、申出をした労働者に対し、医師による面接指導を実施しなければならないとされています。

この面接指導をテレビ電話等の情報通信機器を用いて行うことができるかどうかについて発出された通達(平27.9.15基発 0915 第 5 号) が厚生労働省のHPに掲載されました。

もともとこの面接指導については、「問診その他の方法により心身の状況を把握し、これに応じて面接により必要な指導を行うこと」とされており、医師 が労働者と面接し、労働者とのやりとりやその様子(表情、しぐさ、話し方、声色等)から労働者の疲労の状況やストレスの状況その他の心身の状況を把握するとと もに、把握した情報を元に必要な指導や就業上の措置に関する判断を行うものであ るため、労働者の様子を把握し、円滑にやりとりを行うことができるよう、原則と して直接対面によって行うことが望ましいとされています

しかし通達では、情報通信機器を用いて面接指導を行った場合も、労働者の心身の状況を把握し、必要な指導を行うことができる状況で実施するのであれば、直ちに法違反と なるものではないとされています。

ただし、情報通信機器を用いて面接指導を行う場合には、労働者の心身の状況の確認や必要な指導が適切に行われるようにするため、以下の事項に留意す る必要があるとされています。

(1)面接指導を実施する医師が、以下のいずれかの場合に該当すること。なお、以下のいずれの場合においても、事業者は、面接指導を実施する医師に対し、面接 指導を受ける労働者に関する労働時間等の勤務の状況及び作業環境等に関する 情報を提供しなければならないこと。

  1. 面接指導を実施する医師が、対象労働者が所属する事業場の産業医である場合。
  2. 面接指導を実施する医師が、契約(雇用契約を含む)により、少なくとも過去1年以上の期間にわたって、対象労働者が所属する事業場の労働者の日常的 な健康管理に関する業務を担当している場合。
  3. 面接指導を実施する医師が、過去1年以内に、対象労働者が所属する事業場 を巡視したことがある場合。
  4. 面接指導を実施する医師が、過去1年以内に、当該労働者に直接対面により 指導等を実施したことがある場合。

(2)面接指導に用いる情報通信機器が、以下の全ての要件を満たすこと。

  1. 面接指導を行う医師と労働者とが相互に表情、顔色、声、しぐさ等を確認で きるものであって、映像と音声の送受信が常時安定しかつ円滑であること。な お、映像を伴わない電話による面接指導の実施は認められない。
  2. 情報セキュリティ(外部への情報漏洩の防止や外部からの不正アクセスの防 止)が確保されること。
  3. 労働者が面接指導を受ける際の情報通信機器の操作が、複雑、難解なもので なく、容易に利用できること。

(3)情報通信機器を用いた面接指導の実施方法等について、以下のいずれの要件も満たすこと。

  1. 情報通信機器を用いた面接指導の実施方法について、衛生委員会等で調査審議を行った上で、事前に労働者に周知していること。
  2. 情報通信機器を用いて実施する場合は、面接指導の内容が第三者に知られる ことがないような環境を整備するなど、労働者のプライバシーに配慮している こと。

(4)情報通信機器を用いた面接指導において、医師が緊急に対応すべき徴候等を把握した場合に、労働者が面接指導を受けている事業場その他の場所の近隣の医師等と連携して対応したり、その事業場にいる産業保健スタッフが対応する等の緊 急時対応体制が整備されていること。

本通達により、必ずしも産業医の元に行かないままでも面接指導を受けることができるための要件が明確にされました。従業員の健康管理のため、面接指導を受けさせたいと考える企業にとっては、このような方法を使って、利用しやすい体制づくりをすることも検討してはいかがでしょうか。

参考リンク

情報通信機器を用いた労働安全衛生法第66条の8第1項及び第66条の10第3項の規定に基づく医師による面接指導の実施について(厚生労働省HP、PDF)

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