世界の労働基準監督署からVOL012:新庄労働基準監督署

厚生労働省が、改正労基法の内容を含むパンフレット「フレックスタイム制 のわかりやすい解説 & 導入の手引き」を公表しました。

フレックスタイム制は、一定の期間についてあらかじめ定めた総労働時間の範囲内で、労働者が 日々の始業・終業時刻、労働時間を自ら決めることのできる制度ですが、今回の法改正では、フレックスタイム制について、労働時間の調整を行うことのできる期間(清算期間)の上限が1か月から3か月に延長されました。これにより、より柔軟な勤務が可能となります。

しかし、1か月を超える清算期間を定めた場合、時間外労働の計算などがやや煩雑になります。1か月以内のフレックスタイム制では清算期間中の総枠時間(平均週40時間となる時間)を超えた時間が時間外労働となりますが、1か月を超える場合は、 ①1か月ごとに、週平均50時間を超えた労働時間、および②清算期間を通じて、法定労働時間の総枠を超えて労働した時間 (①でカウントした労働時間を除く) が時間外労働としてカウントされることになります。

特に注意しなければならないのは、1か月を超えるフレックスタイム制では、最後の期間で総枠超の時間外労働時間の計算をします。3か月のフレックスタイム制であれば、最初の2か月は週平均50時間を超える部分が時間外労働時間となりますが、そこで溜まっていく週平均40時間から50時間の分の時間外が、最後の期間の時間外に乗ってくるというイメージです。そのため、パンフレットの18ページにあるように、1か月のフレックス制であれば100時間を超えないのに、3か月のフレックス制では100時間を超えるといった事態が発生することもあるのです。

このことからもわかるように、1か月をまたいで労働時間を調整できないような場合は、1か月を超えるフレックスタイム制を活用することには慎重でなければなりません。

パンフレットではこのような内容も具体例をもとに説明されていますので、1か月を超えるフレックスタイム制の導入を検討している事業所では、必ず手元に置いておきたいものといえます。

参考リンク

フレックスタイム制のわかりやすい解説&導入の手引き(厚労省HP)