これまでも紹介してきたように、現在様々な法改正が労政審の各部会で検討されていますが、今回は「介護休暇」の改正動向を取り上げましょう。

育児介護休業法で定められている「介護休暇」は、要介護状態にある対象家族の介護その他の世話を行う労働者は、事業主に申し出ることにより、 対象家族が1 人であれば年に5日まで、2人以上であれば年に10日まで、1日単位または半日単位(1日の所定労働時間の2分の1)で取得することができます。

これが、現在、時間単位で取得できるようにする方向で議論が進められています。これは、近年顕著に増加している認知症介護の場合に、認知症の症状である徘徊や暴行等のBPSDが要因となり、家族介護者が突発的な対応を余儀なくされることが多く、また、認知症は症状が徐々に進行する特徴があるため、変化に応じてケアプランの見直しを行う等、家族介護者が介護専門職と相談できる機会の確保が不可欠であるところ、こうした相談は短時間で済む場合が多い が、現行の介護休暇は取得単位が「半日」であるため、所要時間に応じた小刻みの取得ができないことから、規制改革推進会議第5次答申で、介護休暇の時間単位での取得が可能とすることが求められたことによります。

なお、 子の看護休暇についても、子の健康診断や予防接種などに対応する場合に、所要時間に応じてより柔軟に取得できるようにするという観点から、介護休暇と同様に、1時間単位での取得を可能とすることもあわせて検討されています。

政府は介護離職ゼロを掲げており、今後法改正に向けて議論が進められるものと思われます。もっとも、有給とする必要のない介護休暇を柔軟化してもどこまで活用されるかは疑問があります。介護離職対策としては、労使協定を要する年次有給休暇の時間単位取得などを導入することも考えられます。

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参考リンク

第21回労働政策審議会雇用環境・均等分科会(厚労省HP)