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厚生労働省が「労働者派遣事業報告書」(令和元年度報告)集計結果(速報値)を発表しました。「労働者派遣法」では派遣元事業主に対し、それぞれの事業年度毎の運営状況についての報告書を厚生労働大臣に提出するよう定めています。令和元年度の集計については、報告対象期間(各派遣元事業主の事業年度)の末日が、平成31年4月1日から令和2年3月31日の期間内に属する報告について集計したものです。

令和元年度集計結果によれば、派遣労働者数は約184万人で対前年度比9.1%の増加となりました。なかでも無期雇用派遣労働者は604,215人で対前年度比18.3%増と大幅な増加となりました。これは、平成27年改正により導入した新しい派遣労働者の受け入れ可能期間の制限が導入され、3年経過したことから、受け入れ可能期間の制限のない無期雇用派遣への転換が進んだものと思われます。一方、有期雇用派遣労働者 も1,231,710人で対前年度比5.1%と増加しています。

また、派遣先件数も約70万件と対前年度比で1.2%増、さらに年間売上高は7兆8,689億円で対前年度比23.3%と大幅な増加となりました。派遣料金(8時間換算)(平均)も23,629円で対前年度比2.5%増加となっています。派遣労働者の賃金(8時間換算)(平均)も15,234円で対前年度比2.3%増と同程度上昇しています。

最後に、平成27年改正で新たに導入された雇用安定措置の実施状況をみておきましょう。雇用安定措置とは、派遣就業見込みが3年であり、継続就業を希望する有期雇用派遣労働者について、以下のいずれかを実施することが義務付けられているものです(就業見込みが1年以上3年未満の場合は、1~4のいずれかの措置を講じる努力義務、派遣元事業主に雇用された期間が通算1年以上の場合は、2~4のいずれかの措置を講じる努力義務)。

  1. 派遣先への直接雇用の依頼
  2. 新たな派遣先の提供 (※能力、経験等に照らして合理的なものに限る)
  3. 派遣元での無期雇用
  4. その他安定した雇用の継続を図るために必要な措置(有給の教育訓練、紹介予定派遣など)

本調査によれば、対象派遣労働者1,090,654人中、上記1の措置を講じられたのは72,840でうち派遣先に直接雇用されたのは31,602人でした。また、2の措置を講じられた人数は551,724人、3の措置は21,976、4の措置は49,627でした。このように、雇用安定措置は、新たな派遣先の提供が最も多くなっており、必ずしも直接雇用にはつながっていないことも明らかになりました。

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参考リンク

令和元年度 労働者派遣事業報告書の集計結果(速報)(厚生労働省HP)