世界の労働基準監督署からVOL015:横須賀労働基準監督署

厚生労働省が令和3年度の「過労死等の労災補償状況」を公表しました。「過労死等」とは、「業務における過重な負荷による脳血管疾患若しくは心臓疾患を原因とする死亡若しくは業務における強い心理的負荷による精神障害を原因とする自殺による死亡又はこれらの脳血管疾患若しくは心臓疾患若しくは精神障害をいう。」と定義されています。

厚生労働省では、過重な仕事が原因で発症した脳・心臓疾患や、仕事による強いストレスが原因で発病した精神障害の状況について、労災請求件数や、「業務上疾病」と認定し労災保険給付を決定した支給決定件数などを、平成14年以降年1回、取りまとめています。支給決定件数は、令和3年度中に「業務上」と認定した件数で、令和3年度以前に請求があったものを含みます。

初めに全体の件数の動向についてみてみましょう。令和3年度の過労死等に関する請求件数は3,099件(前年度比264件の増加)となりました。一方、支給決定件数は、801件(前年度比1件の減少)でした。なお、うち死亡(自殺未遂を含む)の件数は136件で前年度比12件の減少でした。

ところで、今年度の調査では裁量労働制対象者についても調査が行われました。裁量労働制対象者の脳・心臓疾患の支給決定件数は2件で、いずれも専門業務型裁量労働制対象者でした。また、精神障害の支給決定件数は7件で、専門業務型裁量労働制対象者6件、企画業務型裁量労働制対象者1件でした。

また、新型コロナウイルス感染症に関連する脳・心臓疾患の支給決定件数は4件、精神障害の支給決定件数は18件でした。なお、これは、請求人が業務で新型コロナウイルス感染症に関連する出来事などがあったと申し立てたものです。

複数業務要因災害に関する脳・心臓疾患の決定件数は8件(うち支給決定件数2件)で、精神障害の決定件数は0件(うち支給決定件数0件)でした。なお、事業主が同一でない二以上の事業に同時に使用されている労働者の業務上の負荷を判断する場合には、全ての就業先での業務上の負荷を総合的に評価されます。

お問い合わせはお気軽に。043-245-2288

参考リンク

令和3年度「過労死等の労災補償状況」を公表します(厚生労働省HP)