世界のハローワークからVOL007:ハローワーク墨田

雇用保険法施行規則の改正案が公表され、雇用関係助成金で設定されている「生産性要件」は2023年3月31日で廃止される予定であることがわかりました。

「生産性要件」とは、事業所における生産性向上の取組みを支援するため、生産性を向上させた事業所が労働関係助成金(一部)を利用する場合、その助成額又は助成率の割増等を行う仕組みを言い、平成28年度の補正予算により導入されました。

しかし、生産性要件を導入した助成金について、その要件の確認や執行に長期間を要する制度設計となる等、事務的な非効率も見られたことから生産性要件の廃止する一方、企業の付加価値の向上を労働者に賃上げとして還元し、さらなる雇用の安定を実現するため、生産性要件が設けられている一部の助成金については、賃上げに係る要件に切り替えることとされました。

切替後の賃上げに係る要件については、当該要件を設ける助成金についての規定中で、「その雇用する労働者に係る賃金を一定の割合以上で増額した事業主にあつては、・・・」と規定し、具体的には、事業主による取組の対象となる個々の労働者について、1年以内に5%以上賃金が増加した場合に助成額や助成率を加算される予定です。

ここで増加の対象となる「賃金」とは、基本給おび諸手当をいう(就業規則、労働契約等において明示されているものに限る。)こととされ、諸手当に含むか否かについては以下によるとされています。

  • 諸手当に含むものとは、労働と直接的な関係が認められ、労働者の個人的事情とは関係なく支給される手当(役職手当、資格手当、資格ではないが労働者の一定の能力に対する手当等)をいいます。
  • 諸手当に含まないものとは、①月ごとに支払われるか否かが変動するような諸手当(時間外手当(固定残業代を含む)、休日手当、夜勤手当、出張手当、精皆勤手当、報奨金等)、② 労働と直接的な関係が薄く、当該労働者の個人的事情により支給される手当(家族手当、通勤手当、別居手当、子女教育手当、皆勤手当、住宅手当等)をいいます。

また、賃金が5%以上増加していることについては、改定前後3か月間の賃金総額を比較して判断することとされています。

2023(令和5)年3月31日までに助成金の対象となる取り組みを行ったなどの場合は、経過措置が適用される場合がありますが、詳細は、改正後の各助成金の支給要領を確認するようにしてください。

お問い合わせはお気軽に。043-245-2288

参考リンク

雇用関係助成金で設定されている「生産性要件」は2023年3月31日で廃止されます(厚生労働省HP、PDF)