改正労働施策総合推進法により、パワーハラスメント防止措置が大企業では2020年6月、中小企業では2022年4月から義務付けられるのを前に、エン・ジャパン株式会社が、サイトを利用している企業の人事担当者を対象に「パワハラ対策」についてアンケート調査を行ない、結果を公表しました。

その結果を見る前に、法改正により義務付けられるパワーハラスメント防止措置を確認しておきましょう。すなわち、指針により、次の措置とされています。

  1. 職場におけるパワハラの内容・パワハラを行ってはならない旨の方針を明確化し、 労働者に周知・啓発すること
  2. 行為者について、厳正に対処する旨の方針・対処の内容を就業規則等の文書に規定し、労働者に周知・啓発すること
  3. 相談窓口をあらかじめ定め、労働者に周知すること
  4. 相談窓口担当者が、相談内容や状況に応じ、適切に対応できるようにすること
  5. 事実関係を迅速かつ正確に確認すること
  6. 速やかに被害者に対する配慮のための措置を適正に行うこと
  7. 事実関係の確認後、行為者に対する措置を適正に行うこと
  8. 再発防止に向けた措置を講ずること
  9. 相談者・行為者等のプライバシーを保護するために必要な措置を講じ、その旨労働者に周知すること
  10. 相談したこと等を理由として、解雇その他不利益取り扱いをされない旨を定め、労働者に周知・啓発すること

では、実際のパワハラ対策の実施状況はどのようになっているのでしょうか。エン・ジャパンの調査によれば、第1位は「社内に相談窓口を設置」(72%)、第2位は「就業規則に罰則規定を設ける」(57%)、第3位は「管理職向けの研修・講習会の実施」(46%)となっています。このように相談を受けられ、問題事案が発生した場合には処分も可能な体制は半数以上の企業で整っていることがわかります。一方で課題としては、経営層や管理職のパワハラに対する理解度が低いことやパワハラの基準・境界が曖昧であることが挙げられています。これらについては、研修やセミナーを通じて理解を深めていく必要があるでしょう。

法改正により、今後は、パワハラに対する対策もこれまで以上に重要な問題となることが予想されます。また、パワハラも労働局の調停の対象になることから、これまで以上に積極的な対応が求められるでしょう。

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参考リンク

500社に聞く「パワハラ対策」実態調査2020 ―『人事のミカタ』アンケート―(エン・ジャパンHP)