今回の記事、ざっくり言うと・・・

  • あっせん・労働審判・裁判上の和解での解決は、多くのケースにおいて金銭解決が利用されており、あっせんは低額で解決する傾向がある一方で、審判及び和解は高額で解決する傾向がある

image087「日本再興戦略」改訂2014において、労働紛争解決手段として活用されている 都道府県労働局のあっせん、労働審判の調停・審判および民事訴訟の和解について、事例の分析・整理を平成26年度中に行う旨が明記されたことを踏まえ、厚生労働省からの依頼を受け、裁判所の協力を得て、独立行政法人労働政策研究・研修機構において 実施した「予見可能性の高い紛争解決システムの構築」の結果が公表されました。

ここでは、「労働局あっせん、労働審判及び裁判上の和解における雇用紛争事案の比較分析」について取り上げましょう。

まず、あっせん・審判・和解のいずれの制度を利用する場合でも、解決内容は多くのケースにおいて金銭解決が活用されており、雇用終了事案の場合、復職の事例は非常に少なくなっていることが明らかになりました。

金銭解決の場合、制度によってその額が異なる傾向があることは従来より指摘されてきたことですが、今回の調査でも、あっせんは低額で解決する傾向がある一方で、審判及び和解は高額で解決する傾向があるとされており、中央値で見ると、あっせんは156,400円、労働審判は1,100,000円、和解は2,301,357円となっています。ただし、 いずれも解決金額の分布は広くなっているとも指摘されています。

なお、解決までの期間の中央値は、あっせん2.1月、労働審判5.1月、和解14.1月となっており、あっせんは解決までの期間が短いが解決金が低額となる傾向があり、一方裁判上の和解では、解決までの期間が長いが高額に上る傾向があるといえます。

会社としても、このような傾向をふまえておくことは、紛争発生時の素早い意思決定につなげることができますので、ぜひ頭に入れておきたいところです。

■関連リンク

「予見可能性の高い紛争解決システムの構築」に関する調査結果の公表について(厚生労働省HP)

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