今回の記事、ざっくり言うと・・・

  • 健康保険法・船員保険法における現在の標準報酬月額の最高等級(47級・121万円)の上に、3等級が追加され、上限が引き上げられる
  • 健康保険については、今回の改正にともなう手続きは発生しない見込み

「持続可能な医療保険制度を構築するための国民健康保険法等の一部を改正する法律」が平成27年5月29日に公布されたことにより、平成28年4月から健康保険及び船員保険の標準報酬月額の上限及び累計標準賞与額の上限が変更になります。そこで、今回は、その内容についてみていくことにしましょう。

1.標準報酬月額及び累計標準賞与額の上限の変更

  1. image199健康保険法及び船員保険法における現在の標準報酬月額の最高等級(47級・121万円)の上に、右図のように3等級が追加され、上限が引き上げられます。
  2. 健康保険法及び船員保険法における年度の累計標準賞与額の上限が540万円から573万円に引き上げられます。

2.改定通知書の送付(健康保険)

健康保険の標準報酬月額の上限改定に伴い、改定後の新等級に該当する被保険者の方がいる対象の事業主に対して、平成28年4月中に管轄の年金事務所より「標準報酬改定通知書」が送られます。

なお、標準報酬月額の改定に際して、事業主からの届出は不要です。

3.月額変更届の届出(船員保険)

船員保険の標準報酬月額の上限改定に伴い、改定前の第47級に該当する被保険者の方がいる船舶所有者に対して、平成28年4月に管轄の年金事務所より「報酬月額変更届」が送られます。船舶所有者は、等級が変更となる該当被保険者の要否を確認し、該当者がいる場合は、管轄の年金事務所に「報酬月額変更届」を提出してください。

年金事務所にて事務処理を行った後、改めて船舶所有者に対して改定通知書が送られます。

以上のように、今回の改正は、高額所得者に対する健康保険料負担の増加をもたらすものです。これは、厳しい医療保険事情を反映させたものと言えるでしょう。

なお、健康保険料率については、2月中旬頃に正式に決定する見込みですが、改定案では、東京、千葉はともに微減となっています。この点は、確定し次第、本ページでもお知らせする予定です。

参考リンク

健康保険・船員保険の標準報酬月額の上限改定及び累計標準賞与額の上限変更(日本年金機構HP)

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