今日の記事、ざっくり言うと・・・

  • 改正民法の施行日が、一部を除き、平成32年(2020年)4月1日から施行されることが決まった
  • 今回の改正は,民法のうち債権関係の規定について,取引社会を支える最も基本的な法的基礎である契約に関する規定を中心に,社会・経済の変化への対応を図るための見直しを行うとともに,民法を国民一般に分かりやすいものとする観点から実務で通用している基本的なルールを適切に明文化することとしたもの
  • 消滅時効、法定利率、保証など多数の項目に及ぶ

改正民法の施行日が、一部を除き、平成32年(2020年)4月1日から施行されることが決まりました。

民法のうち債権関係の規定(契約等)は,明治29年に民法が制定された後,約120年間ほとんど改正がされていませんでした。今回の改正は,民法のうち債権関係の規定について,取引社会を支える最も基本的な法的基礎である契約に関する規定を中心に,社会・経済の変化への対応を図るための見直しを行うとともに,民法を国民一般に分かりやすいものとする観点から実務で通用している基本的なルールを適切に明文化することとしたものです。

「社会・経済の変化への対応」の観点からの改正検討項目としては、つぎのものがあります。

  1. 消滅時効→業種ごとに異なる短期の時効を廃止し、原則として「知った時から5年」に
    シンプルに統一し、時効期間の判断を容易化する
  2. 法定利率→法定利率を現行の年5%から年3%に引き下げた上、市中の金利動向に合わせて変動する制度を導入し、法定利率についての不公平感の是正する
  3. 保証→事業用の融資について、経営者以外の保証人については公証人による意思確認手続を新設し、安易に保証人となることによる被害の発生防止する
  4. 約款→定型約款を契約内容とする旨の表示があれば個別の条項に合意したものとみなが、信義則(民法1条2項)に反して相手方の利益を一方的に害する条項は無効と明記、また、定型約款の一方的変更の要件を整備し、取引の安定化・円滑化を図る

また、「国民一般に分かりやすい民法」とする観点からの改正検討項目としては、次のものがあります。

  1. 意思能力→意思能力(判断能力)を有しないでした法律行為は無効であることを明記
  2. 将来債権の譲渡→将来債権の譲渡(担保設定)が可能であることを明記
  3. 賃貸借契約→賃貸借終了時の敷金返還や原状回復に関する基本的なルールを明記

労務に関連するところでは、未払い賃金請求などに関連する法定利率が挙げられます。改正民法では、報じ法定利率が廃止され、法定利率を施行時年3%に引下げることとされています。また、法定利率を市中の金利の変動に合わせて緩やかに上下させる変動制の導入し、3年ごとに法定利率を見直し。 貸出約定平均金利の過去5年間の平均値を指標とし、この数値に前回の変動時と比較して1%以上の変動があった場合にのみ、1%刻みの数値で法定利率が変動することになります(法定利率は整数になる。)。

また、消滅時効についても、すでに労政審では取り上げられており、民法に揃える形で改正される可能性があります。この点は、未払い賃金の請求に直接関係するため、きわめて重要なポイントとなります。

このように労務分野においても、決して無縁ではありません。法務省も資料を充実させていますので、施行日までに、確認しておくようにしましょう(他人ごとではないわけですが・・・)。

参考リンク

民法の一部を改正する法律(債権法改正)について(法務省HP)

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