厚生労働省の「副業・兼業の場合の労働時間管理の在り方に関する検討会」が副業・兼業の場合の労働時間管理の在り方に関する報告書をまとめ、公表しました。

現在、副業・兼業の普及促進に当たり、健康確保の充実と実効性のある労働時間管理の在り方が課題となっています。本検討会では、労働法制の歴史的経緯、企業等へのヒアリング、諸外国の視察結果等を踏まえ、今後の方向性について、考えられる選択肢の例示 を整理した ものです。

報告書では3つのポイントがあります。すなわち「健康管理」「上限規制」「割増賃金」です。ここでは、もっとも注目度の高い「割増賃金」についてみてみましょう。

割増賃金の支払については、日々、他の事業主の下での労働時間を把握することは、企業にとって、実施することが非常に困難であって、結果として、①違法状態が放置され労働基準法に対する信頼性が損なわれかねないこと、②別の事業主の下で働く場合に、労働時間を通算して割増賃金の支払い義務があることが、時間外労働の抑制機能を果たしていない面もあること等を踏まえ、例えば、以下のような制度の見直しが挙げられました。

  1. 労働者の自己申告を前提に、通算して割増賃金を支払いやすく、かつ時間外労働の抑制効果も期待できる方法を設けること(例:使用者の予見可能性のある他の事業主の下での週や月単位などの所定労働時間のみ通算して割増賃金の支払いを義務付けること)
  2. 各事業主の下で法定労働時間を超えた場合のみ割増賃金の支払いを義務付けること

今回の報告書で、兼業・副業の場合の労働時間の在り方についての方向性が示されました。厚生労働省は、この報告書を踏まえて、労働政策審議会において、引き続き検討を行うとしています。

お問い合わせはお気軽に。043-245-2288

参考リンク

「副業・兼業の場合の労働時間管理の在り方に関する検討会」の報告書を公表します(厚労省HP)