今日の記事、ざっくり言うと…

  • 近年勤務終了後、一定時間以上の「休息時間」を設けることで、働く方の生活時間や睡眠時間を確保する「勤務間インターバル」が注目されている
  • 厚生労働省がその規定例を公表した

近年、従業員の健康維持のための施策として、「勤務間インターバル」という制度が注目されています。「勤務間インターバル」とは、勤務終了後、一定時間以上の「休息時間」を設けることで、働く方の生活時間や睡眠時間を確保するものです。

厚生労働省HPより

そして、厚生労働省が勤務間インターバル制度の就業規則例を作成しましたので、以下で取り上げたいと思います。

第N条(勤務間インターバル)

  1. いかなる場合も、労働者ごとに1日の勤務終了後、次の勤務の開始までに少なくとも、○時間の継続した休息時間を与える。
  2. 前項の休息時間の満了時刻が、次の勤務の所定始業時刻以降に及 ぶ場合、当該始業時刻から満了時刻までの時間は労働したものとみ なす。

本規定のポイントは、前日の残業が長引いて終業時刻が遅くなった場合で、一定の休息時間を設けることにより、本来の始業時刻よりも遅れて始業する場合に、遅れた分を有給の時間として処理しているという点です。たとえば、始業時刻が午前9時の会社において、前日午前1時まで就業し、休息時間が9時間とされていた場合には午前10時が始業時刻となりますが、9時から10時までは労働したものとみなすというわけです。

しかし、始業時刻が遅れた分、終業時刻も遅らせるという制度にすることも考えらえます。そのような場合の規定例が次のものです。

第N条(勤務間インターバル)

  1. いかなる場合も、労働者ごとに1日の勤務終了後、次の勤務の 開始までに少なくとも、○時間の継続した休息時間を与える。
  2. 前項の休息時間の満了時刻が、次の勤務の所定始業時刻以降に及 ぶ場合、翌日の始業時間は、前項の休息時間の満了時刻まで繰り下 げる。

このような制度の方が、会社にとっては受け入れやすい制度なのではないでしょうか。ただし、長時間の残業が連続すると、どんどん始業時刻も遅れていく結果となることに注意が必要です。そのため、終業時刻が午後10時を超える場合には、超える部分については労働したものとみなす、または始業時刻が午後1時を超える場合には、午後1時を始業時刻とするというような制度にすることも考えられます。

参考リンク

就業規則例(厚生労働省HP)

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