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医師の時間外・休日労働の上限については、

  • 36協定上の上限及び、36協定によっても超えられない上限をともに、 原則年960時間(A水準)
  • 月100時間未満(例外あり)とした上で、ⓐ地域の医療提供体制の確保のために暫定的に認められる水準(連携B・B水準)、およびⓑ集中的に技能を向上させるために必要な水準(C水準)として、 年1,860時間・月100時間未満(例外あり)の上限時間数を設定するものとされています。

これにともない、医師、看護師、薬剤師、事務職員等の幅広い医療スタッフの協力の下、一連の過程を定めて継続的に行う自主的な勤務環境改善活動を促進することにより、快適な職場環境を形成し、医療スタッフの健康増進と安全確保を図るとともに、医療の質を高め、患者の安全と健康の確保に資することを目的として、医療機関における「医療勤務環境改善マネジメントシステム」の導入が進められています。

計画を作成する際も、医療法により努力義務が課されている「医療勤務環境改善マネジメントシステム」のPDCAサイクルを活用して、医師を含む各職種が参加する合議体で議論し、対象医師に対し計画の内容を説明し意見交換する等の手順を踏むことが必要とされます。 ガイドラインでは、以下のような方法が挙げられています。

  • 理事長・院長等経営トップ主導のトップダウンによるチームの組成
  • 問題意識・解決意欲の高い医療スタッフ主導のボトムアップによるチームの組成
  • 人事・事務部門が中心となったプロジェクト・チームの組成
  • 既存の委員会(安全衛生委員会、労働時間等設定改善委員会、業務改善委員会等)や会議の活用

いずれの方法による場合も、勤務環境改善の取組は、医療機関全体に関わる課題であるため、様々な職種・年代のスタッフを参加させることが重要とされています。その際、たとえば、医療機関内で世代や職位の異なる複数の医師、他の医療職種、事務職員等が参加する意見交換会を実施し、働き方改革に対する年代や職位による考え方の違いや改革を進める上での課題・役割分担等について相互理解を深めることが、実効的な計画作成につながると考えられます。

医療機関においては、勤務医を対象とした説明会を開催し、計画の内容について理解を深めるとともに、計画の内容およびその進捗状況について、意見交換の機会を設けることが重要とされています。働き方改革に関するチームを医療機関内の正式な組織として位置付け、医療機関として本気で取り組んでいく方針を医療機関内に示すことも効果的です。また、作成された計画や連携B・B・C水準の指定申請に当たって作成した計画の案は、今後の医療機関としての取組の方向性を示すものであるため、院内に掲示する等により継続的にその内容の周知を図ることも重要です。

計画の作成に当たっては、必要に応じて医療勤務環境改善支援センターに相談し、アドバイスを受けることができます。

また、医療機関は、計画作成後は、同計画を医療機関が所在する都道府県に提出します。計画には前年度の実績を記入するとともに、毎年、必要な見直しを行い、見直し後の計画を毎年、都道府県に提出することとされています。

なお、令和5年度末までの計画については、都道府県への提出は任意ですが、提出した場合には情報提供や助言等の支援を受けることができます。

連携B・B・C水準の対象医療機関として都道府県により指定を受ける場合には、指定を受けることを予定している年度を開始年度とした「計画の案」を作成し、事前に評価センターによる評価を受審する必要があります。また、都道府県による医療機関の指定は、その評価結果を踏まえて行われることにさります。加えて、指定後は3年以内に一度の頻度で、評価センターによる評価を受審する必要がありますが、その際には評価を受審する年度の計画が参照されます。評価センターの評価の対象は、医療機関における労働時間短縮の取組の状況(取組内容や取組実績、目標の達成状況等)および今後の取組の内容(目標や取組目標)で、評価センターは、計画の案や計画に記載された内容を参照して評価を行います。このため、計画にどのような内容を記載するのか、どのような目標を設定し、その達成のためにどのような取組目標を立てるのかが重要となります。

評価センターは、客観的な評価基準を元に、また、訪問調査等により確認した事項も踏まえて評価します。このため、計画に、実現可能性の高い取組目標のみを記載する等により達成率を高めることは、必ずしも良い評価結果を生むとは限らりません。

なお、令和5年度末までの間に、医療機関が努力義務に基づき作成する計画は、評価センターの評価の対象外ですが、令和5年度末までの取組は、取組実績として、令和6年度を開始年度とする初回の指定に係る評価の際に参照されることとなります。

都道府県による指定は、評価結果後の医療機関における改善状況も踏まえて行われます。評価センターによる評価は、医療機関における取組を支援・促進する視点で行われ、評価結果の伝達は、今後の取組に対する助言として、取組が不十分である事項、今後、改善すべき事項が明らかになるような形で行われます。医療機関においては、評価結果を踏まえ、取組目標の追加や目標の修正を行い、より取組効果の高い計画とすることが大切です。

各医療機関の状況に応じて柔軟に計画を作成できるようにするため、作成の参考となるよう、ひな型および当該ひな型を使用した作成例も公開されていますので、下記参考リンクより参照してください。

お問い合わせはお気軽に。043-245-2288

参考リンク

医師労働時間短縮計画作成ガイドライン及び医療機関の医師の労働時間短縮の取組に関するガイドライン(評価項目と評価基準)の公表について(厚生労働省HP)