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医師の長時間労働の背景には様々な課題が絡み合って存在していますが、医師の労働時間の短縮を計画的に進めていく上では、医療機関として、医師労働時間短縮計画を作成し、同計画に沿って、医療機関の管理者のリーダーシップの下、医療機関全体として医師の働き方改革を進めていくことが重要とされています。

計画の作成にあたっては、「医師労働時間短縮計画作成ガイドライン」が参考になります。以下では、このガイドラインの内容に沿って、少し解説をしていきたいと思いまs。

ガイドラインによれば、計画は、医師の労働時間を短縮していくために、医療機関内で取り組む事項について作成し、PDCAサイクルによる労働時間短縮の取組を進めていくためのものとされています。

また、計画の作成に当たっては、各職種(特に医師)が参加して検討を行う等の手順が想定されており、計画について、PDCAサイクルが実効的に回る仕組みを医療機関内で構築していくこともあわせて求められています。

さらに、連携B・B・C水準の対象医療機関の指定の際には、医療機関勤務環境評価センターが労働時間の短縮に向けた取組状況を評価しますが、その際にも役立つものとする必要があるなどの点を踏まえ、医療機関において計画的に労働時間短縮に向けた取組が進められるよう、計画には①労働時間の短縮に関する目標および②実績ならびに③労働時間短縮に向けた取組状況を記載し、これに基づきPDCAサイクルの中で、毎年自己評価を行うこととされています。

また、計画作成後は、同計画を医療機関が所在する都道府県に提出することとされています(その後、毎年、定期的に実績を踏まえて必要な見直しを行い、毎年、都道府県に提出する。)。

計画の作成の義務付けについては、

  • 年間の時間外・休日労働時間数が960時間を超える医師(=A水準超の時間外・休日労働を行う医師)が勤務する医療機関に対して令和5年度末までの計画について作成を努力義務としつつ、
  • 連携B・B・C水準の指定を受けることを予定している医療機関は、当該指定申請に当たり、評価センターによる第三者評価を受審する前までに令和6年度以降の計画の案(取組実績と令和6年度以降の取組目標を記載)を作成することとされいます。

年間の時間外・休日労働時間数が960時間を超える医師の勤務する医療機関については、医師の働き方改革を計画的に進める必要があり、計画の作成が求められます。連携B・B・C水準の指定を受けることを予定している医療機関は、当該指定申請に当たり、評価センターによる第三者評価を受審する前までに令和6年度以降の計画の案を作成する必要があります。

また、令和6年度以降については、作成対象医療機関は、自ずと連携B・B・C水準の指定を受けている医療機関に限定されることになります。 計画は、医療機関ごとの取組を記載するものであるが、医師の自己申告等により把握した副業・兼業先の労働時間を通算した時間外・休日労働時間数を基に、作成対象の判断及び労働時間数の実績及び目標並びに労働時間短縮に向けた取組を記載することとされてています。

令和5年度末までの計画の計画期間は以下のとおりです。

  • 計画始期:任意の日
  • 計画終期:令和6年3月末日

なお、できる限り早期に労働時間短縮に向けた取組に着手するため、計画始期についてはできる限り早期が望ましいとされています。令和6年度以降の計画の計画期間は、計画始期が令和6年4月1日、計画終期は始期から5年を超えない範囲内で任意の日です。計画の作成に当たっては、各医療機関は、令和17年度末での連携B・B水準の廃止を前提に、計画的に労働時間短縮の目標を設定する必要があることに留意するとともに、計画期間内であっても、PDCAサイクルの中で、年1回、計画の見直しを行うこととされています。

計画の作成単位としては医療機関を原則とし、計画の対象職種は医師のみです。また、当該医療機関に勤務する医師のうち、全員を計画の対象とすることも可能ですが、長時間労働を行う個々の医師を特定して当該医師の労働時間の短縮に係る計画を作成することや、長時間労働が恒常的となっている診療科に限定して、診療科単位で作成することも可能とされています。また、連携B・B・C水準のいずれか複数の指定を受けている(受けることを予定している)医療機関は、一つの計画としてまとめて作成することも可能ですが、その場合には、取組の対象となる医師が明らかになるよう計画に記載することが求められています。

お問い合わせはお気軽に。043-245-2288

参考リンク

医師労働時間短縮計画作成ガイドライン及び医療機関の医師の労働時間短縮の取組に関するガイドライン(評価項目と評価基準)の公表について(厚生労働省HP)