世界の労働基準監督署からVOL016:東金労働基準監督署

医師、看護師等の宿日直勤務については、一般の宿日直の場合と同様に、それが通常の労働の継続延長である場合には宿日直として許可すべきものでないとされていますが、医師等の宿日直についてはその特性に鑑み、許可基準の細目が定められています。その基準を示す通達が公開されましたので、今回はその概要をみていくことにしましょう。

医師等の宿日直勤務については、次に掲げる条件の全てを満たし、かつ、宿直の場合は夜間に十分な睡眠がとり得るものである場合には、宿日直の許可を与えるよう取り扱うこととされています。

① 通常の勤務時間の拘束から完全に解放された後のものであること。

すなわち、通常の勤務時間終了後もなお、通常の勤務態様が継続している間は、通常の勤務時間の拘束から解放されたとはいえないことから、その間の勤務については、宿日直の許可の対象とはならないものとされています。

② 宿日直中に従事する業務は、一般の宿日直業務以外には、特殊の措置を必要としない軽度の又は短時間の業務に限ること。

例えば、次に掲げる業務等をいい、通常の勤務時間と同態様の業務は含まれません。

  • 医師が、少数の要注意患者の状態の変動に対応するため、問診等による診察等(軽度の処置を含む。)や、看護師等に対する指示、確認を行うこと
  • 医師が、外来患者の来院が通常想定されない休日・夜間(例えば非輪番日であるなど)において、少数の軽症の外来患者や、かかりつけ患者の状態の変動に対応するため、問診等による診察等や、看護師等に対する指示、確認を行うこと
  • 看護職員が、外来患者の来院が通常想定されない休日・夜間(例えば非輪番日であるなど)において、少数の軽症の外来患者や、かかりつけ患者の状態の変動に対応するため、問診等を行うことや、医師に対する報告を行うこと
  • 看護職員が、病室の定時巡回、患者の状態の変動の医師への報告、少数の要注意患者の定時検脈、検温を行うこと

③ 上記①、②以外に、一般の宿日直の許可の際の条件を満たしていること。

宿日直の許可が与えられた場合において、宿日直中に、通常の勤務時間と同態様の業務に従事すること(医師が突発的な事故による応急患者の診療又は入院、患者の死亡、出産等に対応すること、または看護師等が医師にあらかじめ指示された処置を行うこと等)が稀にあったときについては、一般的にみて、常態としてほとんど労働することがない勤務であり、かつ宿直の場合は、夜間に十分な睡眠がとり得るものである限り、宿日直の許可を取り消す必要はないとされています。また、当該通常の勤務時間と同態様の業務に従事する時間について三六協定の届出などの時間外労働の手続がとられ、法定の割増賃金が支払われるよう取り扱うこととされています。したがって、宿日直に対応する医師等の数について、宿日直の際に担当する患者数との関係または当該病院等に夜間・休日に来院する急病患者の発生率との関係等からみて、上記のように通常の勤務時間と同態様の業務に従事することが常態であると判断されるものについては、宿日直の許可を与えることはできないものとされています。

宿日直の許可は、一つの病院、診療所等において、所属診療科、職種、時間帯、業務の種類等を限って与えることができるものとされています。たとえば、医師以外のみ、医師について深夜の時間帯のみといった許可のほか、上記許可基準中の②の例示に関して、外来患者の対応業務については許可基準に該当しませんが、病棟宿日直業務については許可基準に該当するような場合については、病棟宿日直業務のみに限定して許可を与えることも可能とされています。

なお、小規模の病院、診療所等においては、医師等が、そこに住み込んでいる場合がありますが、この場合にはこれを宿日直として取り扱う必要はないとされています。

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参考リンク

医師、看護師等の宿日直許可基準について(令和元年7月1日基発0701第8号)(構成労働省HP)