今回の記事、ざっくり言うと・・・

  • 厚生労働省が当面のメンタルヘルス対策の進め方について、新たな通達を発出
  • ストレスチェック制度の履行確保をメンタルヘルス対策の最重点課題として位置付け、同制度の導入を契機として、事業場におけるメンタルヘルス対策が加速的に進むよう、計画的に取り組むこととするとしている

DSC_0113厚生労働省が当面のメンタルヘルス対策の進め方について、新たな通達を発出しました。周知のとおり、労働安全衛生法の改正により、事業者にストレスチェック制度を義務付け、平成 27 年 12 月 1 日から施行されており、今後、ストレスチェック制度も含めたメンタルヘルス対策について、指導が強化されることが予想されます。そこで、今回はこの通達をみていくことにしましょう。

まず、その基本方針について、「メンタルヘルス対策は、一次予防(メンタルヘルス不調の未然防止)、二次予防(メンタルヘルス不調の早期発見・早期治療)、三次予防(メンタルヘルス不調者の職場復帰支援)を総合的に進めるべきもの」として、「平成 29 年までにメンタルヘルス対策に取り組んでいる事業場の割合を80%以上とする」という目標を踏まえ、「当面は、ストレスチェック制度の履行確保をメンタルヘルス対策の最重点課題として位置付け、同制度の導入を契機として、事業場におけるメンタルヘルス対策が加速的に進むよう、計画的に取り組むこととする」としています。

また、メンタルヘルス対策に取り組んでいない事業場の事業者に対する取組に当たっては、産業保健活動総合支援事業を始めとする各種支援事業の積極的な活用を図るとし、具体的には次の事項が挙げられています。

  • あらゆる機会を捉えたストレスチェック制度の周知の実施
  • ストレスチェック制度に関する指導の実施
  • 精神障害等による業務上の疾病が発生した場合の再発防止対策の指導の実施
  • 衛生管理特別指導事業場に対する指導の実施
  • メンタルヘルス対策のモデル事業場の育成・把握

ここで、地域におけるメンタルヘルス対策を支援するための中核的役割を担うと期待されているのが、(独)労働者健康安全機構と産業保健総合支援センター・地域窓口(地域産業保健センター)です。特に産業保健総合支援センターでは、次に掲げるようなメンタルヘルスに関する支援を実施しています。

  • 産業保健スタッフ等関係者に対する研修の実施
  • 事業場に対するメンタルヘルス対策の周知や情報の提供
  • 事業場からのメンタルヘルス対策・職場復帰支援に関する相談対応
  • 事業場のメンタルヘルス対策への取組に対する訪問支援
  • 事業場に対し各種支援事業登録相談機関やその他の事業場外資源の紹介・教示
  • 小規模事業場における労働者のメンタルヘルスに関する相談・指導の実施
  • 小規模事業場の長時間労働者及び高ストレス者に対する面接指導の実施

このように、当面はストレスチェック制度の履行確保が最重点課題とされており、ストレスチェック制度実施義務事業場においてはこの点に留意するべきでしょう。

参考リンク

ストレスチェック制度の施行を踏まえた当面のメンタルヘルス対策の推進について(平成28年4月1日基発0401第72号)(厚生労働省HP,PDF)

MORI社会保険労務士・行政書士事務所(千葉県千葉市)では、日々生じる従業員に関する問題やちょっとした労働法に関する疑問、他社事例について、気軽に電話やメールで相談できる「労務相談」業務の依頼を受託しています。もちろんストレスチェック制度に関するご相談、給与計算(年末調整)、労働・社会保険、就業規則、各種許認可業務等も対応します。

toiawase