世界の労働基準監督署からVOL003:千葉労働基準監督署

令和元年台風第 19 号による各地で大きな被害が発生したことを受けて、厚生労働省が 「令和元年台風第19号による被害に伴う労働基準法・労働契約法に関するQ&A」および「令和元年台風第19号による被害に伴う派遣労働に関する労働相談Q&A」を公表しました。 以下では、後者の注意したい内容について、取り上げたいと思います。 なお、内容は、先月公表された「令和元年台風第19号による被害に伴う派遣労働に関する労働相談Q&A」と同じ内容です。

問2-1台風により、派遣先から派遣契約を打ち切られたが、派遣労働者に休業手当を支払うべきか。

答2-1  派遣会社においては、…ある派遣先との間で労働者派遣契約が打ち切られたとしても、派遣先と協力しながら、派遣労働者の新たな就業先の確保を図り、それができない場合はまずは休業等を行い雇用の維持を図るようにするとともに、休業手当を支払うこととなっています。また、派遣先においても、労働者派遣法第29条の2により、派遣先の都合により契約を打ち切る場合には、新たな就業の機会の確保や休業手当等の支払に要する費用の負担等を講じな ければならないこととされています。

② 使用者の責に帰すべき事由により休業させる場合、使用者(派遣会社)には休業手当を支払う義務があります(労働基準法第26条)が、「使用者の責に帰すべき事由」に当たるかどうかの判断は、派遣会社についてなされます。派遣先の事業場が、天災事変等の不可抗力によって操業できないため、派遣されている労働者を当該派遣先の事業場で就業させることができない場合であっても、それが「使用者の責に帰すべき事由」に該当しないとは必ずしもいえず、派遣会社について、当該労働者を他の事業場に派遣する可能性等を含めて、「使用者の責に帰すべき事由」に該当するかどうかが判断されます。労働基準法上の休業手当の支払義務がない場合であっても、就業規則等において会社が独自に休業手当を支払うと定めている場合はその支払が必要です。…

③ また、労働者派遣法第26条等により、労働者派遣契約中に、契約の中途解除の際の新たな就業の機会の確保や、休業手当等の支払に要する費用の負担などに関する定めをすることになっていますので、まずは、労働者派遣契約の内容を確認して下さい。

④ (省略)

上記の中で重要なのは、休業手当の支払の要件となる 「使用者の責に帰すべき事由」に当たるかどうかの判断は、派遣会社についてなされるという点でしょう。つまり、派遣先で就業できないことだけでは、これに当たるとは言えないというわけです。

問2-3 派遣労働者に年休を取得させたい。

台風により、派遣先から派遣契約を打ち切られたが、派遣労働者に年次有給休暇を消化させてよいか。

答2-3 ① 年次有給休暇は、原則として、労働者の申出により、派遣労働者が請求する時季に取得するものであり、使用者(派遣会社)に命じられて取得するものではありません(労働基 準法第 39 条第5項)。

②、③ (省略)

このように、会社が年休取得を命令することができないのは当然です。もっとも会社からの働きかけが一切認められないというわけではなく、労働者の自由意志で取得させることは可能です。

以上は派遣会社(派遣元)からの相談を想定したものですが、Q&Aではこのほかにも、派遣労働者や派遣先からのQ&Aも含まれています。

お問い合わせはお気軽に。043-245-2288

参考リンク

令和元年台風第19号による被害に伴う派遣労働に関する労働相談Q&A(厚労省HP)