写真は新庄祭りの山車で、本記事とは関係ありません。

労働政策研究・研修機構(JILPT)が「同一労働同一賃金の対応状況等に関する調査」の結果を公開しました。本調査は、中小企業を中心とする「アンケート調査」を実施して、「同一労働同一賃金ルール」等に企業がどう対応しようとしているかの全体的な動向を把握するとともに、大企業に対しては別途、「ヒアリング調査」も行い、具体的な取組内容や待遇の変化、取組のプロセスや重要なポイント等を把握したものです。

調査結果によれば、本年10月1日現在で「パートタイム・有期雇用労働者」を雇用している企業を対象に、「同一労働同一賃金ルール」への対応(雇用管理の見直し)状況を尋ねると、「既に必要な見直しを行った(対応完了)」が14.9%、「現在、必要な見直しを行っている(対応中)」が11.5%、「今後の見直しに向けて検討中(対応予定)」が19.5%となりました。したがって、現時点では8割以上の企業が対応を完了していないことが明らかになりました。さらに、約5社に一社(19.4%)が、依然として「対応方針は、未定・わからない」状態にとどまっている現状も浮き彫りになりました。

このように、同一労働同一賃金ルールへの取り組みはまだまだこれからというのが実態のようです。厚生労働省はパート・有期労働ポータルサイトを公開して、好事例を収集・公開していますので、これから取り組むという企業では参考になるかもしれません。

たとえば、ある社会福祉法人では、「正職員という呼称を撤廃している。雇用形態に関わらず働きぶりを定量的に評価し待遇に反映できるよう、平成27年度より、雇用形態に関わらない共通の賃金制度を導入した」といった事例が紹介されています。

同法人では、さらに、もともとパートタイム労働者・有期雇用労働者は対象外だった住居手当および退職金について、正職員と同条件で支給を開始しました。退職金については、職員タイプごとの算出方法や支給条件に違いはなく、職員の職務等級に応じた掛け金としているとのことです。

このほか教育訓練についても、正職員と同様に研修の対象としているなど、中小企業での「同一労働同一賃金」への取り組みが紹介されています。

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参考リンク

「同一労働同一賃金の対応状況等に関する調査」(JILPT HP)