世界の労働基準監督署からVOL006:中央労働基準監督署

厚生労働大臣がは、労働政策審議会に対し、2本の「労働安全衛生規則の一部を改正する省令案要綱」について諮問を行い、この諮問を受け、同審議会安全衛生分科会で審議が行われ、妥当であるとの答申がありました。

1つめの改正は、労働安全衛生規則に基づき、有害な業務に従事する労働者に対して歯科健康診断を実施する義務のある事業者について、その使用する労働者の人数にかかわらず、法定の歯科健康診断(定期のものに限る。)を行ったときは、結果報告書を所轄労働基準監督署長に提出することとされたものです。

あわせて、現行の定期健康診断結果報告書から、歯科健康診断に係る記載欄を削除し、新たに「有害な業務に係る歯科健康診断結果報告書(安衛則様式第6号の2)」が作成されます。新様式では従前により報告を求めていた事項に加え、法定の歯科健康診断対象労働者が従事する有害な業務内容等についても報告を求めることとされています。本改正は、令和4年10月1日に施行される予定です。

2つ目は、化学物質による労働災害を防止するためのもので、以下の5点にわたる改正となっています。

第1に、リスクアセスメントが義務付けられている化学物質を製造または取り扱う事業場ごとに、化学物質管理者を選任し、化学物質の管理に係る技術的事項を担当させる等の事業場における化学物質に関する管理体制の強化に関するものです。

第2に、化学物質のSDS(安全データシート)等による情報伝達について、通知事項である「人体に及ぼす作用」の内容の定期的な確認・見直しや、通知事項の拡充等による化学物質の危険性・有害性に関する情報の伝達の強化に関するものです。

第3に、事業者が自ら選択して講ずるばく露措置により、労働者がリスクアセスメント対象物にばく露される程度を最小限度にすること(加えて、一部物質については厚生労働大臣が定める濃度基準以下とすること)や、皮膚または眼に障害を与える化学物質を取り扱う際に労働者に適切な保護具を使用させること等の化学物質の自律的な管理の強化に関するものです。

第4に、衛生委員会において化学物質の自律的な管理の実施状況の調査審議を行うことを義務付ける等の化学物質の管理状況に関する労使等のモニタリングの強化に関するものです。

さらに有機溶剤中毒予防規則、鉛中毒予防規則、四アルキル鉛中毒予防規則、特定化学物質障害予防規則、粉じん障害防止規則関係でも次の改正が行われます。

  • 化学物質管理の水準が一定以上の事業場に対する個別規制の適用除外
  • 作業環境測定結果が第三管理区分の事業場に対する作業環境の改善措置の強化
  • 作業環境管理やばく露防止対策等が適切に実施されている場合における有機溶剤、鉛、四アルキル鉛、特定化学物質(特別管理物質等を除く。)に関する特殊健康診断の実施頻度の緩和 

上記の改正は、公布日ですが、一部令和5年4月1日または令和6年4月1日施行とされています。

お問い合わせはお気軽に。043-245-2288

参考リンク

「労働安全衛生規則等の一部を改正する省令案要綱」の答申(厚生労働省HP)

「労働安全衛生規則の一部を改正する省令案要綱」の答申(厚生労働省HP)