今回の記事、ざっくり言うと・・・

  • 平成27年度に入り、雇用関係助成金について新設・改正が行われている
  • 今年度改正されたものは、一部の採用関係の助成金については減額されている一方、課題となっている派遣労働者の直雇用化や育児支援関係の助成金については、増額されているものもある

image083今回は、雇用関係の助成金の改正点についてみていきましょう。ただし、数が多いので、以下では主だった助成金の改正点について述べます。

1.特定求職者雇用開発助成金 

特定求職者雇用開発助成金については、まず、中小企業事業主の助成額の見直しが行われました。まず、助成金

  1. 短時間以外の高年齢者、母子家庭の母等 30万円×2期(←45万円×2期)
  2. 短時間以外の身体・知的障害者 30万円×4期(←45万円×3期)
  3. 短時間以外の重度・精神障害者 40万円×6期(←60万円×4期)
  4. 短時間の高年齢者、母子家庭の母等 20万円×2期(←30万円×2期)
  5. 短時間の障害者 20万円×4期(←30万円×3期)

また、 不支給要件として、対象労働者が、役員等の3親等以内の親族の場合、雇入れ前3ヶ月を超える実習をしていた場合が追加されました。

さらに、支給額の算定方法の変更について、支給対象期において対象労働者が行った労働に対する賃 金(臨時に支払われた賃金等を除く)を基準とするものとされました。

2.トライアル雇用奨励金

母子家庭の母等又は父子家庭の父を雇い入れた場合 1人につき月4万円から月5万円に増額されました。

3.キャリアアップ助成金(正社員転換コース)

派遣労働者を派遣先で正規雇用労働者として直接雇 用した場合、1人につき、中小企業30万円(大企業同額)加算されることになりました。なお、この措置は、平成27年4月10日から平成28年3月31日 までに雇用した場合です。

今年度限りの短期間の特例措置ですが、今国会で成立する見込みの労働者派遣法の改正を見越した措置のようですね。

4.キャリアアップ助成金 (多様な正社員コース)

本助成金は、もともとキャリアアップ助成金の「短時間正社員コース」という名称でしたが、いわゆる「限定正社員」の普及を目指して、「多様な正社員コース」に変更されました。

それにともない、次の新たな転換内容が創設されました。

  1. 勤務地限定正社員又は職務限定正社員制度を 新たに規定し、適用した場合
  2. 有期契約労働者等を勤務地限定正社員、職務限定正 社員又は短時間正社員(以下「多様な正社員」という。) へ転換または直接雇用した場合

上記支給額(平成27年4月10日から平成28年3月31日 までに雇用した場合)は次のとおりです。

  1. 1適用事業所当たり、中小規模事業主40万円、中小規 模事業主以外30万円 (派遣労働者を派遣先で直接雇用した場合は、中小規 模事業主及び中小規模事業主以外とも15万円加算。対象労働者が母子家庭の母等又は父子家庭の父の 場合は、中小規模事業主及び中小規模事業主以外と も10万円加算)
  2. 対象労働者1人当たり中小規模事業主30万円、中小 規模事業主以外25万円 (対象労働者が母子家庭の母等又は父子家庭の父の場合は、中小規模事業主及び中小規模事業主以外と も10万円加算)

5.キャリアアップ助成金 (人材育成コース)

育児休業中訓練(OFF-JT経費助成のみ)創設され、育児休業中の対象労働者1人1コース当たりの訓練時 間数に応じた額を上限に職業訓練に要した経費を支給されるものとされました。

また、助成額が増額され、有期実習型訓練のOJTの訓練時間に応じた1人1時間 当たりの支給金額が中小企業で700円から800円となりました。

6.キャリア形成助成金

支給対象企業主の範囲の拡大及び助成率が引き上げられました。

  • 政策課題対応型訓練のうち、若年人材育成コース及び 熟練技能育成・承継コースに中小企業事業主以外を対 象として追加
  • 育休中・復職後等能力アップコースの助成率を中小企 業事業主は2分の1から3分の2へ、中小企業事業主以外 が3分の1から2分の1へ引き上げ

■関連リンク

平成27年度 制度改正のご案内(東京労働局HP)

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