image070厚生労働省では、毎年「地方労働行政運営方針」を策定しており、都道府県労働局では、本方針を踏まえ、管内事情に即した重点課題及び対策等を盛り込んだ行政運営方針を取りまとめ、これに基づいた計画的な行政運営を行うものとされています。

そこで、公表された今年度の地方労働行政運営方針の内容のうち「労働基準行政の重点施策」にしぼって、今回から3回(予定)にわたってその概要を解説します。今回は「法定労働条件の確保等」についてみることにしましょう。

1.過重労働による健康障害防止に係る監督指導等

  • 長時間にわたる時間外労働等が恒常的に行われ、過重労働による健康障害の発生 が懸念される事業場等に対しては、重点的に指導を行うこと
  • 脳・心臓疾患等に係る労災請求が行われた事業場であって、過重労働が行われて いると考えられるもの等については、再発防止のための指導を徹底すること

2.基本的労働条件の確立等

  • 有期契約労働者について、「期間の定めのある労働契約を 更新する場合の基準に関する事項」の明示、「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに 関する基準」に基づく雇止めの予告等について、監督指導、窓口相談等において使用者に対する指導を徹底すること
  • 解雇、賃金不払等に関し労働基準関係法令上問題のある申告事案については、その早期の解決のため優先的に迅速かつ適切な対応を図ること

3.賃金不払残業の防止

  • 「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準」の遵守を重点とした監督指導等を実施するとともに、「賃金不払残業総合対策要綱」に基づき総合的な対策を推進すること
  • 重大又は悪質な事案に対しては、司法処分を含め厳正に対処すること

4.若者の「使い捨て」が疑われる企業等への取組

  • 「労働条件相談ダイヤル(仮称)」の設置による夜間や休日における相談体制の整備すること
  • 「労働条件相談ポータルサイト(仮称)」の設置すること
  • 大学等における周知啓発セミナーの実施による法令等の情報発信を行うこと
  • 「労働条件相談ダイヤル(仮称)」で受け付けた相談や情報については、所轄の労働基準監督署へ取り次ぎ、事案の内容に応じて監督指導等を実施するなど、必要な対応を行うこと

まず、上記のうち特に厳正な対処を行うことが定められているのが「賃金不払い残業」です。このように「司法処分を含め厳正に対処すること」と明記されている箇所が、ほかに「労災かくし」と技能実習生にかかる「重大又は悪質な労働基準関係法令違反事案」の2か所あります。これらの重大・悪質事案については、送検等の厳しい対応をすることが定められていることに注意が必要です。

次に、昨年9月に行われた「若者の『使い捨て』が疑われる企業等」への取組みが今年度さらに進むことが注目されます。ハローワークでは、来年春の大卒採用企業に対して離職率の公表を求めるとされており、今後も対策が強化される見込みです。

■関連リンク
平成26年度地方労働行政運営方針の策定について(厚生労働省HP)