• 厚労省は安衛法104条3項に基づき、「労働者の心身の状態に関する情報の適正な取扱いのために事業者が講ずべき措置に関する指針」を策定
  • 指針では、心身の状態の情報の取扱いに関する原則を明らかにしつつ、事業者が策定すべき取扱規程の内容、策定の方法、運用等について定められている
  • 適用は平成31年4月1日から

改正後の労働安全衛生法第104条1項では、労働者の心身の状態に関する情報について、「労働者の健康の確保に必要な範囲内で労働者の心身の状態に関する情報を収集し、並びに当該収集の目的の範囲内でこれを保管し、及び使用しなければならない。ただし、本人の同意がある場合その他正当な事由がある場合は、この限りでない。」と定め、次の2項では、「事業者は、労働者の心身の状態に関する情報を適正に管理するために必要な措置を講じなければならない。」と定められています。

そして厚労省は、同条3項に基づき、「労働者の心身の状態に関する情報の適正な取扱いのために事業者が講ずべき措置に関する指針」を策定し、公表しました。本指針は平成31年4日1日から適用されます。なお、「心身の状態に関する情報」とは、「健康診断等の健康確保措置や任意に行う労働者の健康管理活動を通じて得た情報」です。

指針では、事業者に対して、心身の状態に関する情報の取扱規程を策定することにより取扱いの明確化が必要であるとして、その情報の取扱いに関する原則を明らかにしつつ、事業者が策定すべき取扱規程の内容、策定の方法、運用等について定められています。

取扱規程に定めるべき事項は、具体的には以下のものが示されています。

  1. 心身の状態の情報を取り扱う目的及び取扱方法
  2. 心身の状態の情報を取り扱う者及びその権限並びに取り扱う心身の状態の情報の範囲
  3. 心身の状態の情報を取り扱う目的等の通知方法及び本人同意の取得方法
  4. 心身の状態の情報の適正管理の方法
  5. 心身の状態の情報の開示、訂正等(追加及び削除を含む。以下同じ。)及び使用停止等(消去及び第三者への提供の停止を含む。以下同じ。)の方法
  6. 心身の状態の情報の第三者提供の方法
  7. 事業承継、組織変更に伴う心身の状態の情報の引継ぎに関する事項
  8. 心身の状態の情報の取扱いに関する苦情の処理
  9. 取扱規程の労働者への周知の方法

このうち、心身の状態の情報の適正管理のために事業者が講ずべき措置としては次のものが挙げられています。これらの措置は個人情報保護法において規定されているものであり、事業場ごとの実情を考慮して、適切に運用する必要があります。

  1. 心身の状態の情報を必要な範囲において正確・最新に保つための措置
  2. 心身の状態の情報の漏えい、減失、改ざん等の防止のための措置(心身の状態の情報の取扱いに係る組織的体制の整備、正当な権限を有しない者からのアクセス防止のための措置等)
  3. 保管の必要がなくなった心身の状態の情報の適切な消去等

労働者の心身の状態に関する情報は、非常にセンシティブな内容を含むため、取り扱う上で指針はかならず確認するようにしてください。

参考リンク

「労働者の心身の状態に関する情報の適正な取扱いのために事業者が講ずべき措置に関する指針」を公表します(厚生労働省HP)

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