写真は記事と関係ありません。

賃金から控除された社会保険料の金額が過少であったため、追加で徴収しようとする場合、会社はいつまで請求することができるのか、調べている間に、非常に古い通達(S5.7.15保規225)に行き当たりました。本通達は下記の「関連リンク」より、厚労省のサイトで原文を見ることができますが、今なお有効なものであることまで保証するものではありませんので、あくまで参考までとしてください。

さて、この通達では、「標準報酬の等級第10級なる者を誤って第12級なる者として保険料を徴収したるに依り健康保険組合より其の差額を事業主に還付し来りたるにより被保険者に返還する場合」について、「被保険者の負担すべき前月分の保険料を報酬より控除し居る場合に於て事業主が健康保険組合より保険料過納分の還付をうけ之を被保険者に返還する場合に於て該金額の本質は給料(報酬)と解すべきや又は保険料と解すべきや」(原文は漢字カタカナ表記)という照会に対する回答が示されています。

すなわち、「事業主に於て被保険者に返還すべき金額は広義に於ては保険料たるも健康保険法第4条に所謂「保険料其の他本法の規定に依る徴収金」に該当せず同条の保険料は保険者と保険料納付義務者との間に於けるものを指称するものとす」としました。つまり、標準報酬の等級を誤って多く徴収してしまった場合、その返還する金銭は、当時の保険料等の時効を定めた健康保険法4条の適用はないというわけです。したがって、通達は、「被保険者の返還請求権に関しては同条の短期時効の適用なし」としました。

そして、この「返還金は報酬とも認められざる」、つまり報酬にも当たらないから、「一般民事債権として民法第百六十七条の適用アルモノ」となるわけです。

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参考リンク

事業主ヨリ被保険者ニ還付スヘキ保険料過納分ニ関スル件 (厚生労働省HP)