image076改正パートタイム労働法が4月23日に公布され、厚労省ホームページで周知用のリーフレットが公表されました。そこで、今日はこのリーフレットに基づき、主な4つの改正点についてみることにしましょう。

1.正社員と差別的取扱いが禁止されるパートタイム労働者の対象範囲の拡大

現行法では、正社員と差別的取扱いが禁止されるパートタイム労働者については、 (1) 職務内容が正社員と同一であること、 (2) 人材活用の仕組み(人事異動等の有無や範囲)が正社員と同一であること、 (3) 無期労働契約であることの3つの要件を満たすパートタイム労働者とされていました。

これが、法改正により、(3)の要件が削除され、 (1) 、 (2) に該当すれば、有期労働契約を締結しているパートタイム労働者も正社員と差別的取扱いが禁止されることになります。

これは、労働契約法20条で期間の定めがあることによる不合理な労働条件が禁止されたこととの整合性を保つための改正と思われます。

2.「短時間労働者の待遇の原則」の新設

事業主が、雇用するパートタイム労働者の待遇と正社員の待遇を相違させる場合は、その待遇の相違は、職務の内容、人材活用の仕組み、その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならないとする、広く全てのパートタイム労働者を対象とした待遇の原則の規定が創設されます。

この改正も、上記の労働契約法20条を受けたものでしょう。

ちなみに、労働契約法20条では「労働条件」という語が用いられているのに対して、パート労働法では「待遇」という語が用いられています。これについて、審議会では次のようなやりとりがありました。

半沢委員「・・・案文の中で、『待遇』という表現がありますが待遇には一体どのようなものが含まれるのでしょうか。以前の審議会の中では賃金のみならず、教育訓練、福利厚生も含み、労働条件という言葉と同じ意味で議論をしていたように思いますが、その辺りの認識についてお聞かせください。」

田中短時間・在宅労働課長「パート法におきましては、待遇についての現行の差別的取扱いの禁止の対象となる場合、賃金の決定、教育訓練の実施等々、全ての待遇について差別的取扱いをしてはならないとしておりますし、今回の改正によって、これが変わるものではないと思っております。」

もっとハッキリ答えてほしいものなのですが、田中課長が否定をしていないこと、本条は待遇の一般的原則に関する規定であることから、広い意味で理解してよいものと考えます(←これもあまりハッキリ答えていない)。

3.パートタイム労働者を雇い入れたときの事業主による説明義務の新設

事業主は、パートタイム労働者を雇い入れたときは、実施する雇用管理の改善措置の内容について、説明しなければならないことになります。

その例としては、次のようなものが挙げられます。

  1. 賃金制度はどうなっているか
  2. どのような教育訓練や福利厚生施設の利用の機会があるか
  3. どのような正社員転換推進措置があるか

4.パートタイム労働者からの相談に対応するための事業主による体制整備の義務の新設

事業主は、パートタイム労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制を整備しなければならないことになります。

その例としては、次のようなものが挙げられます。

  1. 相談担当者を決め、相談に対応させる
  2. 事業主自身が相談担当者となり、相談対応を行う

 

■関連リンク

パートタイム労働法が変わります~短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の一部を改正する法律が公布されました~