image117先日改正された労働安全衛生法の中でも「ストレスチェック制度」について、関心が高まっています。しかし、現時点では政省令等は公布されていませんので、不明な点も多いところですが、このたび厚生労働省が(早くも)「改正労働安全衛生法に関するQ&A集」を公表しました。

そこで、今回はその内ストレスチェックにかかわる部分について触れてみることにしましょう。

まず、今回のストレスチェック制度がどのようなものか、具体的な内容については現在審議会で議論が進められているところですが、これに一定の見通しがつく内容のものがありました。A12において、「労働者の心理的な負担の程度を把握するため、労働者自身が該当する項目を選択するチェックシート方式で行う検査です。実施方法については、今後労使や専門家の意見も聞きつつ検討を行う予定」とされています。したがって、面談形式ではなくアンケートのような形式で実施することが原則となると思われます。

次に、今回のストレスチェック制度の義務化については、労働者数50人未満の事業場は当分の間努力義務となると説明されていますが、この労働者数50人以上というのが事業所(たとえば店舗)単位で考えるのか、法人単位で考えるのかという疑問がありました。

これについては、A5で、「 法人単位ではなく、事業場ごとの従業員数が 50 人未満か否かを確認しますので、法人全体で従業員数 50 人を超える場合であっても、事業場単位でみたときに従業員数が50 人未満であれば、義務とはなりません」とされています。

これは法条文上明らかなことではありましたが、このように明確な回答があると安心できますね。

また、パートタイム労働者が対象になるのかについても、雑誌などで取り上げられていました。この点についても、今回のQ&Aで明らかになっています。

すなわち、「期間の定めのない契約により使用される者(期間の定めのある契約により使用される者の場合は、1年以上使用されることが予定されている者、及び更新により1年以上使用されている者)であって、その者の1週間の労働時間数が当該事業場において同種の業務に従事する通常の労働者の1週間の所定労働時間数の4分の3以上であれば対象労働者となります」とされました。この点は大方の予想通りで、一般定期健康診断の対象者と揃えられることになるようです(原文では、「予定」と含みは持たせていますが)。

Q&Aでは、このほかにも、ストレスチェックの結果とストレスチェックの結果により実施される医師による面接指導の結果の情報の取扱いに関する違いなど、混同されやすい部分も明確となり、政省令事項についても、その内容の見通しが記載されています。

ストレスチェック制度は平成 27 年 12 月までに施行される予定です。まだ1年以上も先のことではありますが、本Q&Aなどにより今からその内容を把握しておくことで、計画的に準備をすることができるでしょう。ただし、政省令事項については、現時点では未確定の状態ですので、このことには留意するようにしましょう。

■関連リンク

改正 労働安全衛生法Q&A集(厚生労働省HP、PDF)

 

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