今回の記事、ざっくり言うと・・・

  • 改正労働者派遣法が11日に衆議院で可決成立する見込みとなった
  • 改正法の施行日は今年の9月30日で早急な対応が望まれる

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東京労働局海岸庁舎とレインボーブリッジ

さて、「呪われた法案」などとも言われた改正労働者派遣法が本日成立する見込みとの報道がありました。法案の施行日が到達したのに未成立という異例づくめの審議でしたが、さっそく9月30日に施行されますので、対応は待ったなしといえます。

改正法案の資料は以前も紹介したことがありますので、今回は、法案の中で、参議院で修正された内容についてみていくことにします。その要旨は次のようなものです。

  1. 派遣元管理台帳の記載事項に、特定有期雇用派遣労働者等の雇用の安定等に関する規定により講じた雇用安定措置を追加する。
  2. 派遣先は、派遣可能期間を延長しようとする場合の過半数労働組合等からの意見の聴取及び過半数労働組合等が異議を述べた場合の延長の理由等の説明を行うに当たっては、この法律の趣旨にのっとり、誠実にこれらを行うように努めなければならない。
  3. 派遣元事業主は、派遣労働者に対し就業条件等の明示をするに当たっては、派遣先が派遣先の事業所ごとの派遣期間の制限又は同一の派遣労働者に係る組織単位ごとの派遣期間の制限に違反して労働者派遣の役務の提供を受けた場合には労働契約の申込みをしたものとみなされることとなる旨を併せて明示しなければならない。
  4. この法律の施行期日を「平成27年9月1日」から「平成27年9月30日」に改める。
  5. その他所要の規定の整備を行う。

1、2については、それぞれの現行書式を修正する必要があるものです。といってもそれほど困難ではないと思います。

ところで、改正労働者派遣法では、1にあるような「特定有期雇用派遣労働者等」という概念が創設されました。これは、改正後の30条で次のように定義されているのですが、条文が長いうえ、省令がまだ不明なので、一見してよくわかりません。

まず、「特定有期雇用派遣労働者」とは、有期雇用派遣労働者であって「派遣先の事業所その他派遣就業の場所に おける同一の組織単位の業務について継続して一年以上の期間当該労働者派遣に係る 労働に従事する見込みがあるものとして厚生労働省令で定めるもの」とされています。つまり、1年以上同じ仕事をする見込みのある有期契約労働者である派遣労働者で、詳細は省令で定められるものということです。

これが「特定有期 雇用派遣労働者」です。

そして、「等」がつくと、次のような派遣労働者が含まれる概念となります。すなわち、①「雇用の安定を図る必要性が高いと認められる者と して厚生労働省令で定めるもの」又は②「派遣労働者として期間を定めて雇用しようとする 労働者であつて雇用の安定を図る必要性が高いと認められるものとして厚生労働省令 で定めるもの」です。こちらはより抽象的です。

なお、改正法により、これら特定有期雇用派遣労働者等については、派遣先に対し労働契約の申込みをすることを 求めることや派遣労働者として就業させることができるように就業の機会を確保するとともに、その機会を特定有期雇用派遣労働者等 に提供することなどの雇用安定措置を講じる努力義務(ただし3年間の見込みの場合は義務となる)が課せられます。

■関連リンク

労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律等の一部を改正する法律案(参議院HP)

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