写真は記事の内容と関係ありません。

前回に引き続き、改正育児介護休業法に関するQ&Aのなかで、今回は、労働時間関係の他の制度との関係について、みていくことにしましょう。

Q6-11:労働基準法第41条第2号に規定する管理監督者に出生時育休中の部分就業を行わせることは可能ですか。
A6-11: 1(省略)
2 管理監督者については、労働基準法第4章の労働時間に関する規定の適用が排除されますが、他の法令における規定は排除されないため、管理監督者についても、法第9条の5の定めるところに従い、通常の労働者と同様の手続きを踏んだ上で、出生時育休中の部分就業を行わせることは可能です。
3 管理監督者が出生時育休中の部分就業を行う場合の、就業可能な時間帯の申出については、当該管理監督者について、就業規則等で定められた所定労働時間内の時間帯で行うことができ、また、この所定労働時間数を元に就業可能な時間数の上限(出生時育児休業期間における所定労働時間の合計の半分)の算出を行います。
4 なお、管理監督者にあたるか否かは1のとおり、各種要素から総合的に判断されるため、出生時育休中の部分就業の合意の範囲内に労働時間の選択が限定されることをもって直ちに管理監督者性が否定されることにはなりません。 ただし、出生時育休中の部分就業を行う場合であっても、引き続き管理監督者として扱われ、自身の労働時間に関する裁量を有していることから、予め合意した就業日時より少ない時間数しか実際に就業しなかったことをもって賃金の減額等のペナルティを課すことは、管理監督者性の判断においてこれを否定する要素として働きうることに留意することが必要です。
5 一方で、予め合意した就業日時の範囲を超えて就業することは育児・介護休業法上認められていないため、当日就業する日時の目途が立たない場合には、予め合意する就業日時を広く設定しておくことが考えられます。ただし、その場合でも、出生時育休中の部分就業を実際に行う時間数は、則第21条の17に定める範囲内(※)に収めなければならないことに留意が必要です。
(※)・出生時育児休業期間の所定労働日数の2分の1以下(1日未満の端数があるときは切り捨て)
・出生時育児休業期間における所定労働時間の合計の2分の1以下
・出生時育児休業開始予定日又は終了予定日を就業日とする場合は当該日の所定労働時間数未満

本問で明確にされたとおり、管理監督者でも出生時育休中の部分就業は可能です。

Q6-12:フレックスタイム制の適用される労働者に出生時育休中の部分就業を行わせることは可能ですか。
A6-12: 可能です(労使協定等により対象外とされた労働者を除く。)。この場合、…具体的には、以下の2つの方法が考えられます。
① 労働者をフレックスタイム制の対象としたまま出生時育休中の部分就業の対象とする。 この場合は、以下に留意する必要があります。
・ 事業主は、法第9条の5に定める手続に従って就業を命じるだけではなく、当該就業が現実に同条の定めるところに従って行われることを実際に確保することが必要であること。このため、事業主は、同条第4項において特定される日時の範囲内での始終業時刻の決定を労働者に委ね、実際に労働した時間はその就業日が属する清算期間における労働時間に算入するものとすること。
・ また、事業主は、必要に応じ業務内容の見直しや業務量の削減などを行い、労働者が同項において特定される日時の範囲を超えて就業することがないこと及び当該日時の範囲内で始終業時刻を労働者が決定できる余地があることを実際に確保することが必要であり、そのようになっていない場合は適法に出生時育休中の部分就業を行わせたとは評価されないこと。
② 労働者をフレックスタイム制の対象から外し、通常の労働者の労働時間管理を行うこととした上で、法第9条の5第2項の就業可能日等の申出を受け、同条第4項の規定に従ってその範囲内で日時を提示し、労働者の同意を得た場合に当該日時に就業させる。

フレックスタイム制を適用したまま部分就業をさせるための要件がわかりづらいのですが、次のA6-13で「フレックスタイム制の適用される労働者がその適用を受けたまま出生時育休中の部分就業を行う場合は、例えば、①労働者が、就業可能な時間帯(※1)と出生時育児休業中に就業可能な時間数の最大幅(※2)を示し、②そのうえで、事業主から就業可能日時の外枠(その枠内で就業してよい範囲)のみを示し、その枠内での始終業時刻は労働者の決定に委ねること(※3) などが考えられます」という解説の方がわかりやすいでしょう。

この中の(※2)については、「導入に当たって労使協定において定めることとなっている標準となる1日の労働時間を元に決定されます。 例えば、標準労働時間が7時間の労働者が 14 日間の出生時育児休業(出生時育児休業期間中における所定労働日数は 10 日)を取得する場合には、労働者が出生時育児休業期間中の就業として申出可能な時間数は7(時間)×10(日)÷2で35 時間までとなります。(申出可能な日数は5日が上限です。)」

お問い合わせはお気軽に。043-245-2288

参考リンク

令和3年改正育児・介護休業法に関するQ&A(令和年4年7月25日更新)(厚生労働省HP,PDF)