image024東京労働局は、平成 25 年度における労働者派遣事業及び職業紹介事業に係る指導監督の状況を取りまとめ、公表しました。

平成25年度は、特定労働者派遣事業所に対して重点的に指導監督を実施しており、特定派遣元832事業所に対して指導監督を実施し、延べ652事業所に是正指導が行われ、是正指導率は78.4%に上りました。 特に特定派遣元事業主でありながら許可なく一般労働者派遣事業を行った1社に対して行政処分が行われました。

また、公表された資料では、指導の事例も掲載されています。ここでは、平成24年に改正され、原則禁止とされた日雇派遣(日々又は30日以内の労働契約により雇い入れた労働者を労働者派遣すること)に関するものを紹介しましょう。

「【事例2 違法な日雇派遣】

派遣元事業主A社は、日雇派遣禁止の例外に該当しない労働者を派遣するにあたり、31日以上の雇用契約を締結していた。雇用契約の締結においては、12日程度の就労日が定まっていたが、就業実態は雇用契約で定められた就労日及び就労日数とも乖離していた。また、極端に実就労日数が少ない理由を、派遣労働者の欠勤としているが、同様の契約を複数回更新していた。これは、形式的に雇用契約期間を31日以上として雇用契約を締結しているものの、実態は日雇労働者であり、日雇派遣の原則禁止に抵触する違法な労働者派遣となっていた。」

この事例は、原則禁止とされた日雇派遣に該当しない31日以上の契約を締結していたが、実際の就労日が予定日数と乖離していたことから、「脱法的」と判断、指導されたものと思われます。

厚生労働省では、改正労働者派遣法のQ&Aにおいて、「例えば、雇用期間が31日以上の労働契約を締結しているにもかかわらず、就労日数が1日しかない、あるいは契約期間中の初日と最終日しか就労日数がないといった場合は、明らかに「社会通念上妥当」と言えない」という考え方を示しています。この観点からも、上記の事例は問題となるでしょう。

また、Q&Aでは、労働契約期間内の就労時間の合計を週単位に換算した場合に概ね20時間以上あるような場合には、雇用期間が31日以上の労働契約を締結することが「社会通念上妥当」と言える」という考え方が示されています。

事例の会社は、31日間で12日程度の就労日が定められていたとされています。これを1日8時間と仮定して週平均の労働時間を算出すると、約21.7時間となることから、事例の会社は、このQ&Aをもとに就労日数を設定していたのではないかと推測されますが、結局形式的には31日以上の労働契約となっていても、実態が伴っていないケースでは指導の対象となるわけです。

今回の調査結果を受けて、東京労働局は、平成26年度の指導監督方針のポイントとして、 次の2つを挙げています。

  • 平成24年に改正された労働者派遣法について、日雇派遣の原則禁止、マージン率等の情報提供の義務化、関係派遣先への派遣割合制限などの改正点を中心に派遣労働者、派遣元事業主及び派遣先に対して積極的な周知及び指導を図る。
  •  労働者派遣事業及び職業紹介事業主等の民間人材ビジネス並びに派遣先等に対する厳正な指導監督を計画的かつ効果的に実施する。特に、悪質な違反及び是正指導後も違反を繰り返す事業主に対しては、行政処分等を含む厳格な対応を徹底する。

このように、日雇派遣の原則禁止等の平成24年改正に立ち返って、もう一度社内のチェックを進めていくことが重要です。

 

■関連リンク

平成 25 年度 労働者派遣事業及び職業紹介事業の指導監督状況~ 特定労働者派遣事業所を重点的に指導監督、高い是正指導率、行政処分も ~

 

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