今回の記事、ざっくり言うと・・・

  • 東京都が平成27年度新規事業として「仕事と介護の両立支援サイト」を開設
  • 「経営者・人事担当者」向けのページでは、仕事と介護の両立支援のために必要な取組や、社員から仕事と介護の両立に関する相談があった場合の対応などについて解説

image107東京都が平成27年度新規事業として「仕事と介護の両立支援サイト」を開設しました。

本サイトは、経営者・人事担当者、働く方それぞれに向けた内容となっており、「介護に直面する前」「介護に直面した後」に分け、解説するものです。このうち、「経営者・人事担当者」向けのページでは、仕事と介護の両立支援のために必要な取組や、社員から仕事と介護の両立に関する相談があった場合の対応などについて解説しており、取組をこれから始める企業の経営者や人事担当者の方に参考となるよう、企業の取組事例も掲載しています。

取り組み事例の一つ、「株式会社 阿部兄弟建築事務所」は、従業員数22名(うち正社員16名)の小規模の事業所ですが、つぎのような取り組みで、「介護のために従業員が退職することがなくなり、優秀な人材の就業継続を実現できてい」るとしています。

  1. 従業員の介護に関する状況把握
  2. 従業員からの相談を受ける体制
  3. オーダーメイド型の勤務形態
  4. 在宅勤務の活用
  5. お客様からの理解
  6. 社内コミュニケーションの活性化

本事例を読んでいて特に感じるのが日常的なコミュニケーションの重要性です。

たとえば、6.については、「第5土曜日はレクリエーションを目的とした出勤日とし、家族同伴でバーベキューを行ったり、スポーツを楽しんだりして」いること、「年1回は1泊2日で社員旅行も実施してい」ることなどが紹介されています。

また、1.でも、「有給休暇の取得が連続したときなどに会社から声掛けし、従業員の介護に関する状況の確認に努めてい」ること、2.でも、「介護を経験した従業員がいますので、従業員同士で介護に関する情報交換をよく行ってい」ることなど、日ごろから情報を共有する職場風土がうかがえます。

企業としては、5.も関心がある課題ではないでしょうか。すなわち、顧客の理解が得られるかどうかです。

本事例では、「従業員が在宅勤務中であることはお客様にも説明して理解を得て」おり、打合せが必要な場合には、「従業員自身で調整し、自宅からお客様のところに出向いて対応する」というように、柔軟に対応することとあわせて理解を求めているようです。

今後、団塊の世代の介護の必要性は高まり、企業の主戦力となる段階ジュニア世代が親の介護のために、従来通りに残業することが難しくなったり、最悪の場合離職するケースが増加すると思われます。すでに大企業では介護休業を法定の日数(93日)を延長したり、短時間勤務制度を導入するなどの対応を進める動きがありますが、ご覧の方の会社でも社内の世代構成や将来の家族介護の必要度などについて、今の内から情報収集を進めておくところから初めてはいかがでしょうか。

関連リンク

東京都・仕事と介護の両立支援サイト(東京都HP)

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