image082東京都では、都内6か所の労働相談情報センターにおいて、中小企業の労使からの「労働相談」に応じ、紛争当事者間での自主的解決を援助する「あっせん」を行っています。今回、東京都産業労働局がその平成25年度の状況を公表しました。

今回公表された資料によれば、労働相談の件数は、52,684件であり、平成18年度以降8年連続で5万件を超え、依然として高水準にあるとされています。

相談内容は、4年連続で「退職」が最多となっており、以下「解雇」、「職場の嫌がらせ」となりました。このうち「職場の嫌がらせ」の相談は、平成21年度以降、5年連続7千件台で高止まりしています。

なお、ここでいう「解雇」は、使用者の一方的な意思による雇用契約の終了であり、「退職」は、使用者からの働きかけ(勧奨や強要)も多いが、労使合意に基づき雇用契約を終了するものを指します。

ところで、先日のニュースで労基署への申告が過去10年間で最少という結果となったことを取り上げましたが、今回の東京都の結果は、これとは対照的な結果となりました。労基署への申告件数は減少傾向にあるものの、労使間のトラブル自体が減少しているわけではないということがうかがえます。

ここからは私の推測になりますが、いわゆるサービス残業に代表される労働基準法違反のケースから、労働基準法の枠外である解雇・退職の有効性とかそういった「民事」の相談が増加しているのではないでしょうか。また、労働契約に関する問題が10%増加しているのは、昨年の改正労働契約法改正による「無期転換ルール」の影響もあるのではないかと想像しています(非正規労働者に係る相談が前年度比で6.3%増加しています)。

今月の下旬から来月上旬にかけて、東京労働局での総合労働相談コーナーでの状況も公表されると思われます。そちらの結果も注目されます。

 

■参考リンク

平成25年度における労働相談及びあっせんの状況について(東京都HP)