• 労働者派遣事業を運営するにあたっては、社会保険の適正な加入が必要
  • S株式会社は、大阪労働局から社会保険の適用基準を満たす派遣労働者の適正な加入を行うよう文書警告を受けたにもかかわらず、期限までに社会保険の適用基準を満たす派遣労働者を社会保険に加入させず、1か月間の業務停止命令を受けた

労働者派遣事業を運営するにあたっては、社会保険の適正な加入が必要です。これについて、最近の行政指導事例がありましたので、今回はそれを紹介します。

労働者派遣法9条では、労働者派遣事業の許可について「条件」を付すことが出来るものとされています。そして、この条件に違反した場合には、厚生労働大臣は、事業停止命令や許可取り消しの処分をすることができます。

一般的に、労働者派遣の許可証には、「条件」として「労働保険・社会保険の適用基準を満たす派遣労働者の適正な加入を行う者であること」との記載があり、これに違反した場合には次に見るような行政指導の対象となります。

大阪府のS株式会社は、平成29年1月 20 日に大阪労働局需給調整事業部長から社会保険の適用基準を満たす派遣労働者の適正な加入を行うよう文書警告を受けました。しかし、文書警告で示した期限である平成 29 年2月 20 日までに、社会保険の適用基準を満たす少なくとも6名の派遣労働者を社会保険に加入させませんでした。

このことは平成○年10月1日付で厚生労働大臣が星光産業株式会社に対して行った労働者派遣事業許可に付した労働者派遣事業許可の条件について、労働者派遣事業許可条件通知書により平成○年10月1日付で星光産業株式会社に通知した条件のうち「3労働保険・社会保険の適用基準を満たす派遣労働者の適正な加入を行うものであること。」に違反し、労働者派遣法の規定により付された許可の条件に違反したものでした。

そのため、大阪労働局が労働者派遣法に基づき、労働者派遣事業を営む派遣元事業主に対して1か月間の労働者派遣事業停止命令を行われたというわけです。

このように、社会保険の適正な加入がなされていない場合には、労働局による指導・処分の対象となる場合があります。今回紹介した事例では、1度指導を受けたにもかかわらず、それに従わなかったために事業停止命令を受けたというわけです。このように社会保険の適性加入は労働者派遣事業運営上求められる事項であることに留意する必要があります。

参考リンク

※本件の公表文書には具体的な社名等の記載があるため、参考リンクは省略します。

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