厚生労働省が日本人材派遣協会などの業界団体に対して、派遣労働者の無期転換の際の通勤手当と基本給の取扱いに関して要請を行いました。今回の要請は、今年3月に国会審議や新聞報道において、一部の派遣会社が、有期契約の派遣労働者を無期契約に転換する際に、希望する場合には一定額を上限として通勤手当を支払う代わりに、基本給の一定額を減額する取り扱いが行われているとの指摘を受けたものとされています。

要請分では、派遣労働者の待遇の見直しを行うにあたっては、次の事項に留意することが必要であるとしています。

  • 有期契約の派遣労働者が無期契約に転換する場合等に、通勤手当を支給する一方で、基本給を引き下げ、派遣労働者の賃金の総額を実質てきに引き下げることは、改正労働者派遣法の目的に照らして問題であること
  • 有期契約の派遣労働者から無期契約への転換に伴い、基本給を含めた労働条件を変更する際には、労働契約法に規定する事項に加え、派遣会社は派遣労働者に対して、その基本給の変更の内容のみならず、様々な手当等の額に影響しうることを含め、丁寧に説明する等、労使で話し合いを行うことが肝要であること

来年以降、派遣労働者について「同一労働同一賃金」の規制が及ぶことにともない、派遣労働者の無期雇用化が広がることが予想されます。今回の要請はそのこともふまえたものと考えられます。労働条件を不利益に変更するに場合には、労使の合意が必要とされており、それは形式的なものでは足りず、十分説明した上で身長に行わなければならないことに留意する必要があるでしょう。

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参考リンク

局長通達:派遣労働者の無期転換の際の通勤手当と基本給の取扱いに関する要請書(厚労省HP)