• 働き方改革推進法では、派遣労働者について、①派遣先の労働者との均等・均衡待遇、②一定の要件を満たす労使協定による待遇のいずれかを確保することを義務化
  • 派遣労働者の均等待遇規定・均衡待遇規定について、同一労働同一賃金のガイドライン(案)の改正案が労政審で示された

写真と記事の内容は関係ありません。

働き方改革推進法では、派遣労働者について、①派遣先の労働者との均等・均衡待遇、②一定の要件を満たす労使協定による待遇のいずれかを確保することを義務化しました。

まず、派遣先労働者との均等・均衡方式では、派遣労働者と派遣先労働者との待遇差について、均等待遇規定・均衡待遇規定を創設し、派遣先になろうとする者に対し、派遣先労働者の待遇に関する情報提供義務を課すとともに、教育訓練、福利厚⽣施設の利⽤、就業環境の整備など派遣先の措置の規定を強化することとされました。

次に、労使協定による一定水準を満たす待遇決定方式では、派遣元事業主が、労働者の過半数で組織する労働組合又は労働者の過半数代表者と以下の要件を満たす労使協定を締結した場合に、当該協定に基づいて待遇決定するものとされています。

  • 賃⾦決定⽅法(次の1、2に該当するものに限る)
    1. 協定対象の派遣労働者が従事する業務と同種の業務に従事する⼀般労働者の平均的な賃⾦額と同等以上の賃⾦額となるもの
    2. 派遣労働者の職務内容、成果、意欲、能⼒⼜は経験等の向上があった場合に賃⾦が改善されるもの
  • 派遣労働者の職務内容、成果、意欲、能⼒⼜は経験等を公正に評価して賃⾦を決定すること
  • 派遣元事業主の通常の労働者(派遣労働者を除く)との間に不合理な相違がない待遇(賃⾦を除く)の決定方法
  • 派遣労働者に対して段階的・体系的な教育訓練を実施すること

さらに、派遣先事業主に対し、派遣料⾦の額について、派遣元事業主が上記①、②を順守できるよう配慮義務を創設するとともに、均等待遇規定・均衡待遇規定の解釈の明確化のため、ガイドライン(指針)の策定根拠を規定しました。

このような法令改正が行われたことに伴い、労政審では、今後次のテーマで議論が進められることになります。

  • 同一労働同一賃金ガイドライン(労働者派遣法関係部分)
  • 労使協定関係(労使協定に関する手続、一般の労働者の平均的な賃金の額等)
  • 待遇情報の提供(派遣先の労働者の待遇に関する情報提供に関する手続・内容、比較対象労働者 等)
  • 待遇差に関する説明義務の具体的内容、説明方法
  • 待遇方式の周知

このうち、直近の労政審では、同一労働同一賃金ガイドラインと労使協定に関する改正案が公開されており、労使協定方式による場合についての記載が追加されました。

協定対象派遣労働者の待遇に関して、原則となる考え方及び具体例は次のとおりである。

1 賃金

協定対象派遣労働者の賃金の決定の方法については、同種の業務に従事する一般の労働者の平均的な賃金の額として厚生労働省令で定めるものと同等以上の賃金の額となるものでなければならない。

また、その賃金の決定の方法は、派遣労働者の職務の内容、職務の成果、意欲、能力又は経験その他の就業の実態に関する事項の向上があった場合に賃金が改善されるものでなければならない。

さらに、派遣元事業主は、この方法により賃金を決定するに当たっては、派遣労働者の職務の内容、職務の成果、意欲、能力又は経験その他の就業の実態に関する事項を公正に評価し、その賃金を決定しなければならない。

このほか、パート・有期契約の派遣労働者の均衡待遇をどのように考えるのかについもて追加されました。派遣労働者については、労使協定法しいによるケースが多いと見られますので、あらかじめ資料を確認しておくとよいでしょう。

参考リンク

第10回労働政策審議会 職業安定分科会 雇用・環境均等分科会 同一労働同一賃金部会(厚生労働省HP)

千葉県千葉市中央区のMORI社会保険労務士・行政書士事務所では、日々生じる従業員に関する問題やちょっとした労働法に関する疑問、他社事例について、気軽に電話やメールで相談できる「労務相談」業務の依頼を受託しています。もちろん同一労働同一賃金に関するご相談、給与計算(年末調整)、就業規則、労働者派遣業等各種許認可業務等も対応します。まずはお気軽にお問い合わせください。

toiawase