先日の記事で派遣労働者の同一労働同一賃金の労使協定方式で用いる「同種の業務に従事する一般労働者の賃金」の令和3年度版が公表されたことを取り上げましたが、合わせてQ&Aの第3集も公開されています。内容は、前半は「一般賃金の額(令和2年度)」(例外的取扱い)に関するものですが、後半はそれ以外の内容も含まれています。そこで、ここでは、後半部分のなかで、注目するべきものを取り上げます。

問1-9 労使協定を締結する過半数代表者の選出の手続きにおいて、ある労働者を過半数代表者として選出することに信任(賛成)するか否かについて、派遣元事業主(所)が全労働者に確認することとなった。その確認方法として、派遣労働者を含む全ての労働者に対してメールで通知し、メールに対する返信のない者を、メールの内容について信任(賛成)したものとみなす取扱いは認められるか。
 また、同様の場合に、返信がない場合は信任(賛成)したものとみなす旨をメールに記載している場合は認められるか。

答 過半数代表者の選出には、労働者の過半数が選任を支持していることが明確になるような民主的な手続を経ることが必要である。最終的には個別の事例ごとに判断されるものであるが、一般的には、お尋ねのような取扱いは、労働者の過半数が選任を支持していることが必ずしも明確にならないものと考えられる。例えば、返信がなかった労働者について、電話や訪問等により、直接意見を確認する等の措置を講じるべきである。
 なお、イントラネット等を用いて、労働者の意思の確認を行う場合も同様である。

過半数代表者の選出にあたって、投票とした場合に、通常派遣先で就業する派遣労働者からどのように投票してもらうかについては、メール等でのやり取りになる場合も少なくありません。その場合に、どうしても返信がない方が生じますが、その場合に「電話や訪問等により、直接意見を確認する等の措置を講じるべき」ということが示されました。なお、「メールの開封者やイントラネット等の閲覧者を派遣元事業主(所)が確認できる場合においては、メールの開封等を行ったものの、意見の表明がない労働者を信任(賛成)したものとみなす取扱い」についても、直接意見を確認するべきとしています。

ところで、退職金については、①退職手当制度で比較する場合、②)一般の労働者の退職金に相当する額と「同等以上」を確保する場合、③中小企業退職金共済制度等に加入する場合の3つがあります。このうちの「中小企業退職金共済制度等に加入する場合」については「一般退職金の額以上の掛金(派遣元事業主負担分に限る。)」により、中小企業退職金共済制度、確定給付企業年金、確定拠出年金等に加入する場合、または一般退職金の額以上の退職一時金の費用を派遣元事業主が負担している場合には、法が求める一般退職金と同等以上であるものとみなすとされています。そして、この「等」には、例えば、派遣元事業主が独自に設けている企業年金制度が含まれることが局長通達で示されていますが、Q&Aではさらに、企業型の確定拠出年金のマッチング拠出のうち事業主が負担する掛け金は、これに算入することは認められること、また「特定退職金共済制度」、「中小事業主掛金納付制度(iDeCo+)」の上乗せ部分はこれに該当することが明示されました。

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参考リンク

労使協定方式に関するQ&A【第3集】(構成労働省HP、PDF)