今日の記事、ざっくり言うと・・・

  • 厚労省が海外に在住する親族を健康保険の被扶養者に加入させる場合の統一的な取扱いを通達した
  • 現況申立書の作成と身分関係、生計維持関係の確認書類の提出が求められる

世界の年金事務所からvol003:千葉年金事務所

近年、外国人労働者の増加に伴い、社会保険の事務においても海外に在住する親族を健康保険の被扶養者に加入させたいという相談を受けることが増えてきました。今回、厚労省はその統一的な取扱いを通達しましたので、今回はそれを紹介しましょう。

健康保険の被扶養者は、「被保険者の直系尊属、配偶者、子、孫及び兄弟姉妹であって、主としてその被保険者により生計を維持するもの」、「被保険者の三親等内の親族で前号に掲げる者以外のものであって、その被保険者と同一の世帯に属し、主としてその被保険者により生計を維持するもの」等と規定されています。

したがって、国内に居住していることは要件とはされていません。しかし、海外に在住し日本国内に住所を有さない者で被扶養者の認定を受けようとする「海外認定対象者」については、身分関係及び生計
維持関係の確認をする際に、日本国内に住所を有する者に求めている証明書類(戸籍謄本や課税証明等)の提出が困難な場合があります。

そこで、次のように取り扱われることとされました。

① 現況申立書の作成

被扶養者(異動)届を提出するにあたり、認定対象者の現況についての申立書を作成し、提出させることとされました。

② 身分関係、生計維持関係の確認書類

現況申立書に記載された内容について、記載の内容のみをもっての認定は行わず、必ず次の書類により確認することとされました。

  • 身分関係の確認
    • 続柄が確認できる公的証明書又はそれに準ずる書類
  • 被保険者と海外認定対象者が同一世帯に属していない場合の生計維持関係
    の確認

    • 認定対象者の収入の確認
      • 収入がある場合・・・公的機関又は勤務先から発行された収入証明書
      • 収入がない場合・・・収入がないことを証明する公的証明書又はそれに準ずる書類
    • 被保険者の仕送り額等の確認
      • 海外認定対象者に対する被保険者からの送金事実と仕送り額について、金融機関発行の振込依頼書又は振込先の通帳の写しにより確認すること

なお、書類が外国語で作成されたものであるときは、その書類に翻訳者の「署名」がされた日本語の翻訳文を添付しなければなりません。外国の証明書類は、必ずしも日本と同じ体系で整備されているわけではありませんので、実務では、それぞれの書類が何を証明している書類なのかを確認し、官庁の窓口担当者にも説明できるようにしておくことが大切です。

参考リンク

海外に在住し日本国内に住所を有しない被扶養者の認定事務について(厚労省HP,PDF)

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