世界の労働基準監督署からVOL018:成田労働基準監督署

無期転換ルール、裁量労働制等に関する省令の改正案がパブリックコメントにかけられていますので、今回はこの概要についてみることにしましょう。なお、本改正は令和6年4月1日予定です。

今回の改正は、無期転換ルールに関するものと裁量労働制に関するものがあります。

まず、無期転換ルールに関して、「今後の労働契約法制及び労働時間法制の在り方について(報告)」において、無期転換申込権が発生する契約更新時に、労働基準法第15条の労働条件明示として、無期転換申込機会と無期転換後の労働条件について通知することを義務づけること等が適当とされたことを踏まえ、労働基準法施行規則において必要な措置を講じるものです。

裁量労働制については、上記報告において、労働者が理解・納得した上での制度の適用と裁量の確保、労働者の健康と処遇の確保、労使コミュニケーションの促進等を通じた適正な制度運用の確保等の方策を強化することとなったことを踏まえ、専門業務型裁量労働制の本人同意を得ることや同意の撤回の手続、労使協議の実効性向上等について、必要な改正を行うものです。

では、先に無期転換ルール・労働契約関係の明確化については、労働条件明示事項に、次の事項が追加されます。

  • 通算契約期間又は有期労働契約の更新回数の上限
  • 就業場所・業務の変更の範囲
  • 無期転換申込権が発生する契約更新時において、無期転換申込機会と無期転換後の労働条件を追加する。

このうち、就業場所・業務の変更の範囲が追加されることについては、たとえば別規程を参照する規定が有効か、包括的な規定が可能か、明示していなかった場所や業務への異動の有効性など、様々な論点が生じますので、今後の行政通達やQ&Aなどに注目しなければならないでしょう。

なお、無期転換後の労働条件を明示する際には、労働契約の締結時に書面の交付等の方法により明示することとされている事項については、書面の交付等の方法により明示することとされます。

次に、裁量労働制についてみると、企画業務型裁量労働制の対象労働者に適用される賃金・評価制度を変更する場合に、使用者が労使委員会に変更内容について説明を行うことを決議事項に追加することとされます。

また、企画型について、使用者が労使委員会に対象労働者に適用される賃金・評価制度の内容について説明することに関する事項、労使委員会が制度の実施状況の把握及び運用の改善等を行うことに関する事項、労使委員会の開催頻度を6か月以内ごとに1回とすることを労使委員会の運営規程に定めることとするとともに、労働者側委員の選出手続の適正化を図ること等とされました。

一方、専門型については、本人同意を得ることや、同意をしなかった場合に不利益取扱いをしないことを協定事項に追加することとされるとともに、専門型および企画型について、同意の撤回の手続を協定事項および決議事項に追加することとされました。

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参考リンク

「労働基準法施行規則及び労働時間等の設定の改善に関する特別措置法施行規則の一部を改正する省令案」及び「労働基準法第三十八条の四第一項の規定により同項第一号の業務に従事する労働者の適正な労働条件の確保を図るための指針及び労働基準法施行規則第二十四条の二の二第二項第六号の規定に基づき厚生労働大臣の指定する業務の一部を改正する告示案」に関する御意見の募集について(e-gov)