世界の労働基準監督署からVOL005:那覇労働基準監督署

現在労働契約法の改正が構成労働省の労働政策審議会で進められています。その議論のたたき台になっているのが「多様化する労働契約のルールに関する検討会報告書」で、そこでは、次の6つの各論について検討することとされています。

  1. 無期転換を希望する労働者の転換申込機会の確保
  2. 無期転換前の雇止め等
  3. 通算契約期間及びクーリング期間
  4. 無期転換後の労働条件
  5. 有期雇用特別措置法の活用状況
  6. 労使コミュニケーション

このうち、今回は1についてみていきたいと思います。

今回の報告書では、使用者が要件を満たす個々の労働者に対して、無期転換申込みの機会の通知を行うよう義務づけることが適当とされています。通知のタイミングとしては、「無期転換申込権が発生する契約更新ごとのタイミング」が適当とされ、会社の負担をふまえて契約更新の際に行う労働条件明示の中で併せて通知を行うこととされました。

さらに、無期転換後の労働条件も併せて通知することが適当とされ、その具体的な内容は、労基法15条1項の労働条件明示の対象について規定した労働基準法施行規則5条の1項各号全て(無期労働契約になることに伴い不要となる事項を除く。)の事項とすることが適当とされました。これには、新たに明示の対象に加えることが適当としている就業の場所・従事すべき業務の変更の範囲も含まれるものとされています。

なお、無期転換申込権発生前に、無期転換後の労働条件に関して「別段の定め」を設けたなどの場合、通知する無期転換後の労働条件は「別段の定め」の内容を反映した労働条件とすることが適当とされています。他方、無期転換申込権発生時点で「別段の定め」がない場合は、契約期間以外の労働条件について現に締結している有期労働契約の労働条件と同一となる旨を通知することが適当とされ、通知内容のうち、労基法15条1項において書面で明示することとされているものは、無期転換後の労働条件の通知にあたっても書面事項とすることが適当とされました。

このように、現在無期転換ルールの利用を促進するためのルール作りが進められています。最終的に法案でどのような形になるかはまだ不明ですので、今後の動向に留意が必要です。

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参考リンク

第177回労働政策審議会労働条件分科会(厚生労働省HP)