今回の記事、ざっくり言うと・・・

  • 厚労省内の審議会で「時間外労働・休日労働に関する労使協定の実態調査」が資料として提出された
  • 「特別の事情」で最も多いのは、「取引先都合による業務の繁忙、納期ひっ迫」で21.3%、続いて「一般顧客の集中による業務の繁忙」で11.9%

image214現在、時間外労働の規制について、厚労省内の審議会で議論が進められていますが、今回は、そこで提出された「時間外労働・休日労働に関する労使協定の実態調査」についてみてみることにしましょう。

この調査は、平成28年3月1日及び2日に全国の労働基準監督署に届け出られた36協定のうち、1か月当たり 45 時間を超える時間外労働が可能なものを調査の対象としたものです。なお、あくまで協定時間であり、実際の労働時間の実績ではありません。

今回公表されたデータは、いわゆる「特別条項」の事由をサンプル集計したものです。

それによれば、「特別の事情」で最も多いのは、「取引先都合による業務の繁忙、納期ひっ迫」で21.3%、続いて「一般顧客の集中による業務の繁忙」で11.9%、さらに「予算・決算・経理業務」(9.3%)、「機械等の故障等のトラブルへの対応」(9.1%)と続きます。

「取引先都合による業務の繁忙、納期ひっ迫」では、特に製造業では40.7%に及び、建設業(38.3%)、貨物取扱業(33.3%)でも比較的高い割合となっています。

さらに、1か月80時間超の時間外労働を定めた「特別条項」の「特別の事情」では、「取引先都合による業務の繁忙、納期ひっ迫」で25.1%、次に「機械等の故障等のトラブルへの対応」(9.6%)となっています。

また、「特別延長時間」に関する調査では、70時間超の割合が65.2%、80時間超の割合が16.8となっており、多くの企業が70時間超80時間以下の特別延長時間を設定していることがうかがえます。これは、いわゆる過労死基準を参照していること、80時間超の特別延長時間を定めていると監督署から指導が行われやすいといわれている(?)ことなどの理由が推測されます。

このような統計的な情報も踏まえて自社の現状と照らしててみるのもよいでしょう。

参考リンク

第3回仕事と生活の調和のための時間外労働規制に関する検討会 配布資料(厚生労働省HP)

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