今回の記事をざっくり言うと・・・

  • (公財)日本生産性本部が全上場企業の人事労務担当者を対象に「日本的雇用・人事の変容に関する調査」を実施し、結果のポイントを公表
  • 管理職層について見ると、「役割・職務給」が最も導入している割合が多い
  • 非管理職層では、「職能給」の導入率が最も高い

image221公益財団法人日本生産性本部が全上場企業の人事労務担当者を対象に「日本的雇用・人事の変容に関する調査」を実施し、結果のポイントを公表しました。

今回は、そのうち「賃金体系の内訳」についてみていくことで、現在の賃金制度等の潮流を考えていきたいと思います。

本調査では、「役割・職務給、職能給、年齢・勤続給それぞれに ついて管理職層、非管理職層にどの程度導入されているかを尋ね」ており、その回答をまずは紹介します。

まず、管理職層について見ると、「役割・職務給」は今回の調査では 74.4%となりました。また、「職能給」は66.9%、「年齢・勤続給」は24.8%となっています。

このように、管理職層に限っては、「役割・職務給」による処遇がメインストリームとなっており、かつて広く採用されていた「年齢・勤続給」による処遇は少数にとどまる結果となっています。

つぎに、非管理職層では、「職能給」の導入率が82.7%、「役割・職務給」は56.4%、「年齢・勤続給」は49.6%となっています。

管理職との違いは明らかで、非管理職層については、「職能給」を導入している企業が最も多い結果となりました。ただし、過去からの変遷をみると、「役割・職務給」は増加傾向、「年齢・勤続給」は減少傾向にあるという傾向は管理職層と共通しており、今後もこの傾向は続くと思われます。

ところで、現在「同一労働同一賃金」が話題になっていますが、これは「役割・職務給」と親和性の高い制度とも言うことができます。もっとも、日本の場合の「役割・職務給」はあくまで会社の内側の話であって、欧米のような業種横断的なそれとは少し違うということもできるのですが、これに労働力の流動化がさらに進めば、「同一労働同一賃金」が馴染む土壌がさらに整う可能性があると、私は考えています(ただし、現時点ではまだ時期尚早というのが私の考えですが。)。

いずれにしても、企業としては、何を評価して何に賃金を支払うのか、そのポリシーを明確にすることが、マネジメントの観点からも重要となります。こういった現在の潮流もふまえた上で、自社での賃金についても考えてみてはいかがでしょうか。

参考リンク

「第15回 日本的雇用・人事の変容に関する調査」(日本生産性本部HP)

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