明けましておめでとうございます。

厚生労働省内の審議会が報告書の案である「男性の育児休業取得促進策等について(案)」を公開しました。今後、本報告書案では、実際に男性の取得ニーズの高い子の出生直後の時期について、現行の育児休業よりも柔軟で取得しやすい新たな仕組み(新制度(普及のための通称について検討))を設けることが提言されており、今後法改正に繋がると思われます。そこで、以下では、報告書案に基づいて「新制度」の方向性をみていくことにしましょう。

報告書案によれば、「新制度」は子の出生後8週を対象とし、取得可能日数については、年次有給休暇が年間最長 20 労働日であること等を参考に、4週間とすることとされています。ただし、各企業の既存の育児目的のための休暇(法定の休暇を除く。)が、新制度の取得日数以外の要件を満たすものであれば、当該休暇の日数も含めて4週間の取得が確保されればよいとされています。

また、新制度の要件については、現行の育児休業より短縮し、原則2週間前までとすることとし、職場環境の整備などについて、今回の改正により求められる義務を上回るような取組を実施することを過半数代表等との労使協定で定めている事業所においては、現行の育児休業と同様に1か月前までとしてよいこととすることとされました。

なお、労使協定で定める事項は次の通りです。

  • 新制度や育児休業の取得率や取得期間に関する目標及び事業主の方針
  • 休業開始予定日の1か月前までに申出が円滑に行われるようにするための職場環境の整備、業務の調整、労働者の配置その他の措置((2)の環境整備の措置義務を上回る措置として、これらのうち複数の措置を実施している場合等)
  • 労働者へ休業取得の個別の働きかけを行うだけでなく、具体的な取得意向の個別の把握まで行うこと

なお、新制度については、2回まで分割取得も認められる方向で、その場合は、初めにまとめて申し出ることとすることとされています。

新制度では、休業中の就労についても労働者の意に反したものとならないことを担保した上で、労働者の意向を踏まえて、事業主の必要に応じ、事前に調整した上で、就労を認めることと、柔軟な対応が可能となる見込みです。その場合、過半数代表等との労使協定を締結し、労働者と事業主の合意した範囲内でのみ可能とするとともに、就労可能日数の上限(休業期間の労働日の半分)を設けることとされました。具体的な流れは、以下とすることが適当である。

  • 労使協定を締結する。
  • 労働者が就労しても良い場合は事業主にその条件(就労しても良い日時や上限日数・時間数)を申し出る。
  • 事業主が休業期間中に就労させたい場合には、労働者が申し出た条件の範囲内で、就労候補日・時間を提示する。
  • 労働者が同意した範囲で就労させることができる。

このように、新制度は男性従業員が取得しやすいような工夫も盛り込まれています。

本報告書案では、このほか①妊娠・出産(本人又は配偶者)の申出をした労働者に対する個別の働きかけ及び環境整備、②育児休業の分割取得、③育児休業取得率の公表の促進等についても言及されており、次の育児介護休業法の改正が大きな改正になることが伺われます。

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参考リンク

男性の育児休業取得促進策等について(案)(厚生労働省HP,PDF)