今回の記事をざっくり言うと・・・

  • 日本年金機構が「短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大Q&A集(第2版(平成28年9月30日更新))」を公表
  • 実際の労働時間及び労働日数が連続する2月において4分の3基準を満たした場合で、引き続き同様の状態が続いている又は続くことが見込まれるときは、4分の3基準を満たした月の3月目の初日に被保険者資格を取得

image186日本年金機構が「ファイルダウンロード 新規ウインドウで開きます。短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大Q&A集(第2版(平成28年9月30日更新))」を公表しました。そこで、今回は、第2版で新たに追加された内容を中心にご紹介しましょう。


問2の2 就業規則や雇用契約書等で定められた所定労働時間又は所定労働日数が4分の3基準を満たさない者が、業務の都合等により恒常的に実際の労働時間及び労働日数が4分の3基準を満たした場合は、どのように取り扱うのか。

(答)実際の労働時間及び労働日数が連続する2月において4分の3基準を満たした場合で、引き続き同様の状態が続いている又は続くことが見込まれるときは、4分の3基準を満たした月の3月目の初日に被保険者資格を取得します。

ただし、短時間労働者として5要件を全て満たした場合は、その時点から、被保険者の資格を取得します。


この解釈は、パートタイム労働者の社会保険の適用に当たって、ポイントになるものと考えます。なお、この取扱いは、特定適用事業所の場合には、週20時間の基準で同様のものが掲載されています(問18条の2)


問14の2 「施行日に特定適用事業所に該当する旨のお知らせ」や「特定適用事業所該当通知書」が送付されてきたが、施行日前に、被保険者の総数が500人を超えなくなった場合、特定適用事業所に該当したことを取り消すことはできるか。

(答)特定適用事業所該当取消申出書を、事務センター(又は年金事務所)へ届け出ることにより、特定適用事業所に該当したことを取り消すことができます。


この取扱いは「施行日前」に500人を超えなくなった場合である点に注意が必要です。施行日後については、問14にあるように、引き続き特定適用事業所であるものとして取り扱われます。

ただし、「特定適用事業所不該当届」に被保険者の4分の3以上の同意を得た証する書類を添えて届出た場合には、特定適用事業所に該当しなくなったものとして取り扱われます。


問22の2 雇用期間が1年未満である場合は、雇用期間が継続して1年以上見込まれることとして取り扱われることはないのか。

(答)雇用期間が1年未満である場合であっても、次の1.2.のいずれかに該当するときは、雇用期間が継続して1年以上見込まれることとして取り扱います。

  1. 就業規則、雇用契約書等その他書面においてその契約が更新される旨又は更新される場合がある旨が明示されていること
  2. 同一の事業所において同様の雇用契約に基づき雇用されている者が更新等により1年以上雇用された実績があること

ただし、1.2.のいずれかに該当するときであっても、労使双方により、1年以上雇用しないことについて合意しているときは、雇用期間が継続して1年以上見込まれないこととして取扱います。


一見してよくわからないQ&Aのように思います。1.は1回の雇用契約期間を全く問題にしていませんが、更新条項があれば、1年以上の雇用見込みがあると取り扱うということなのでしょうか。1か月の雇用契約でも、更新される場合がある旨が明示されていた場合もこの解釈でよいのでしょうか。


問28の2 個別の雇用契約書等に基づいて月額賃金を算出する場合で、所定労働賃金が1週間単位で定められている場合、月額賃金をどのように算出すればよいか。

(答)1週間の所定労働賃金に12分の52を乗じて算出します。


答のように書かれるとピンと来ないかもしれませんが、要するに1年(52週)の賃金を12月で割っているということです。

関連リンク

平成28年10月より短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大が始まります。(日本年金機構HP)

MORI社会保険労務士・行政書士事務所(千葉県千葉市)では、日々生じる従業員に関する問題やちょっとした労働法に関する疑問、他社事例について、気軽に電話やメールで相談できる「労務相談」業務の依頼を受託しています。もちろん社会保険の適用拡大に関するご相談、給与計算(年末調整)、労働・社会保険、就業規則、各種許認可業務等も対応します。

toiawase